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2008年6月15日 (日曜日)

トミフラと言えば「Overseas」

今日も朝から爽やかな晴天。完全に梅雨の中休みである。これだけ爽やかな「梅雨の中休み」なら大歓迎。晴天とはいえ、スカッと晴れ渡った感じではないが、雲がある分、夏の日差しが和らげられて、気温もそこそこで、涼しい位。

さて、6月9日のブログ6月10日のブログと、2日に渡って、トミー・フラナガンのピアノについて語ったわけだが、トミー・フラナガンと言えば、ジャズ入門として、必ずと言って良いほど、その名前があがるリーダー・アルバムがある。『オーバーシーズ(Overseas)』(写真)である。

トロンボーンのJ.J.ジョンソンのクインテットがヨーロッパに演奏旅行した際、ストックホルムで、フロントを除いたピアノ・トリオの録音が行われ、その時の記録が、この『オーバーシーズ』。1957年8月15日の録音です。パーソネルは、トミー・フラナガン(p),ウィルバー・リトル(b),エルヴィン・ジョーンズ(ds) です。

1950〜60年代、トミー・フラナガンは、ハード・バップの様々な名盤セッションに、サイドメンとして名を連ねて、「名盤請負人」なんていう、良く判らないニックネームを付けられていますが、フラナガンのリーダー・アルバムは数える位しかありません。その一枚がこの『オーバーシーズ』です。

その内容は素晴らしいものです。リーダーのフラナガンは、正統バップ系のピアノよろしく、アグレッシブに、優雅でハッキリとしたタッチで、ドライブと歌心溢れ、ほのかな近代的響きと、そこはかとなくファンキー芳る、彼独特のピアノ・タッチで、気持ちよさそうに、それぞれの曲を弾き進めて行きます。

もともと、歌伴で鍛えた職人芸、フラナガンは、それぞれの曲の雰囲気に合わせて、ピアノ・タッチやインプロビゼーションのテンポや内容にきっちりと変化を付けて、弾いて行きます。この辺が、実にニクイですね。もうこの1957年時点で、フラナガンのピアノは完成の域に達していることが判ります。

Overseas

そのフラナガンのアグレッシブな、正統バップ系ピアノに合わせて、エルビン・ジョーンズのドラミングが、バッシバッシとアグレッシブに叩きまくっている。でも、無造作に単純に叩きまくっている訳では無く、抑えるところ、盛り上げるところ、TPOをしっかりわきまえた、実に機微に飛んだドラミングだと思います。しかし、全編、ブラッシュ・ワークだというのは信じ難い事実ですね。

この『オーバーシーズ』のエルビンのドラミングについては、色々と言われていますが、まあ、エルビンが勝手に叩きまくって、フラナガンがそれに煽られて、アグレッシブなピアノを弾かされている、なんていう評価は当たらないでしょう。もともと、フラナガンは、純正バップ・ピアニストなんですから、アグレッシブな部分は、フラナガンとしては自然なものでしょう。

トミー・フラナガンのリーダー・アルバムが多くリリースされ始めたのは、1970年代後半以降ですから、それまでのフラナガンのピアノについては、サイドメンでの演奏しか聴くことができなかったので、「フラナガンのピアノは枯れた味わい」なんていう変な評価になったのかもしれません。

彼の演奏技術は非常に高く、伴奏時には、それぞれのソロイストに合わせて、そのソロイストを引き立てるような弾き方、音色でサポートすることができる。特に伴奏時には、ソロイストの前へ出るなんてことは、あり得ませんから、「枯れた」の部分は良く理解できませんが、フラナガンの伴奏は、ソロイストに合わせた「味わい」で攻めるピアノというのは判ります。

とまあ、とかく誤解されがちなトミー・フラナガンのピアノですが、そんな難しい評価など関係なく、この『オーバーシーズ』でのフラナガンのピアノは素晴らしいです。ジャズ・ピアノとして、様々な要素が詰まっていて、いわゆる「教科書的なアルバム」ですね。ジャズ・ピアノを聴き進めて行く時、ジャズ初心者としては必聴のアルバムでしょう。

そうそう、忘れちゃあいけない。地味でなかなか話題に上らないのですが、ウィルバー・リトルのベースも堅実サポートで好感が持てます。特に、最近リイシューされた「50THアニバーサリー・エディション」でのリマスタリングされた優れた音で、ウィルバー・リトルのベースは再評価です。

最後に、この『オーバーシーズ』には、有名どころで、2種類のジャケットがあります(写真参照)。どちらも『オーバーシーズ』なんですが、僕は1970年代に、この『オーバーシーズ』をLPで購入したので、左の「Cが一杯並んだ」ジャケット・デザインの方に馴染みがあります。ちなみに、写真右の「若き日のフラナガンの横顔写真」のジャケット・デザインは、1986年に、DIWから未発表3曲を加えての完全版が発売された時の「EPオリジナルジャケット」です。
 
 
 
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