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2008年5月16日 (金曜日)

上質の「伴奏ピアノ・トリオ」

有名なジャズ・ジャイアントだからといって、全ての演奏フォーマットに秀でているミュージシャンは少ない。ジャズ・ジャイアントも人の子、得手のフォーマットもあれば、不得手のフォーマットもある。

と、聴いていて、感じ入ってしまったアルバムとは『The Herbie Hancock Trio '77』(写真左)。Herbie Hancock (p)、Ron Carter (b)、Tony Williams (ds)の、元60年代マイルス・デイヴィス・クインテットのリズム・セクション。ハンコックとしては数少ないトリオでの作品。

ハービーは、インタビューで「ピアノ・トリオは得意な編成では無い。どちらかというと伴奏に回った方が自由に演奏できる」と語っているのを、雑誌で読んだことがある。確かに、ピアノ・トリオの編成では、テーマからアドリブまで、旋律の部分は、ほとんど、ピアノが担当することになる。

ハービーが伴奏に回った時の凄さは、60年代マイルス・デイヴィス・クインテットの諸作品で証明済み。特に、マイルスのバックで、一番凄い、一番マイルスに合ったアコースティック・ピアノを供給したのは、ハービーだろう。ハービーのアコースティック・ピアノは、伴奏に回った時に、その真価を発揮する。
 

Herbie_trio77

 
この『The Herbie Hancock Trio '77』を聴くと、メンバー間のスリリングなアグレッシブなインタープレイが凄い。けれど、ふと「これってバッキングのプレイ・スタイルだよね」と思う。フロントに、マイルス・デイヴィスがいるような、ハービーを中心とするインプロビゼーションに被って、いまにも、マイルスのペットが滑り込んできそうな、そんな錯覚を覚えるのは僕だけだろうか。

「マイルスがいたら、俺たちこんなヒップでホットなバッキングをするぜ。昔とは違うぜ」と言わんばかりに、このトリオ演奏のフロントにマイルスがいるかの如く、マイルスを誘うが如き、火の噴くような、モーダルなインプロビゼーションを繰り広げている。

実に充実した演奏である。でも、これって「バッキングのプレイ・スタイル」。メロディーを追えない分、ジャズ初心者の方々には、ちょっとお勧めしかねます。メロディーよりも、ジャズとしての「演奏のクールさ、ヒップさ」が聴き分けることが出来るようになった、ジャズ中級者の方々にお勧めします。

ジャケットもなかなかのデザイン。特に、トニー・ウイリアムスのドラミングが凄い。インタープレイ、インプロビゼーションの部分に聴きどころ満載。このピアノ・トリオ・アルバムの特徴と凄さとその理由に感じ入ることができたら、既に貴方はジャズ中級者。初心者の方々には難物です。

有名なハービー・ハンコックの名前とピアノ・トリオというフォーマットだけで、盲目的にチャレンジすると、火傷をしますぞ(笑)。出来たら、ジャズ喫茶などで、1回聴いてからの購入をお勧めします(って、CDショップの店員みたいな口ぶりである・笑)。
 
 
 
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