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2008年5月の記事

2008年5月30日 (金曜日)

さらばシベリア鉄道・その2

昨日、太田裕美の「さらばシベリア鉄道」の話をした。その「さらばシベリア鉄道」を作曲したのは、大滝詠一。その作曲した当の本人の大滝詠一も、とあるアルバムで、この「さらばシベリア鉄道」を歌っている。

そのアルバムとは、後にミリオンセラーの売上となり、大ブームとなる、かの大ヒット作品『A LONG VACATION』(写真左)。LP時代B面のラストに収録されている。

もともとは、大滝詠一の方が録音は先とのこと。いきさつとしては、『A LONG VACATION』の製作中に、太田裕美さんが大滝の仕事場に遊びにいったのが、すべての始まりらしいです。

「さらばシベリア鉄道」の詞は松本隆お得意のコール&レスポンス。つまり「木綿のハンカチーフ」や「赤いハイヒール」でおなじみの、前半を女性の心境で語り、後半を男性の心境で返す、という構成になっていた。ということは、太田裕美さんにピッタリ合うのではないか、と薦めてくれたのが、太田裕美バージョン誕生のきっかけらしい。

A_long_v

う〜ん、いい話やなあ。『A LONG VACATION』の製作中に、太田裕美さんが大滝の仕事場に遊びにいった形跡は確かにあって、『A LONG VACATION』の9曲目「FUN×4」の中に、女性の声で「散歩しない?」という台詞が入っていて、これは太田裕美さんの声です。ちなみに「さらばシベリア鉄道」は、この太田裕美の声入り名曲「FUN×4」の後、アルバムのラスト、10曲目です。

さて、大滝詠一バージョンの「さらばシベリア鉄道」ですが、とにかくアレンジがとても素敵です。前奏の出だしのエコーのかけ方が、もう「冬のシベリア」って感じが出てて、雰囲気バッチリです。

ロシア民謡に出てくるような口笛のようなシンセの音の後、アップテンポになり、ソリを引くトナカイに出発の合図のムチの音のような「シャーン」という音を境に、一気にスピードアップし、列車が走って行くようなテンポと音作りになって、ボーカル部に入っていきます。言葉で表現しきれないのが、実にもどかしい。この素晴らしい前奏のアレンジ、一度聴いて下さい。「聴けば判る」。

展開部におけるアレンジも秀逸。タップリとエコーをかけた、大滝版「ウォール・オブ・サウンド(音壁)」が効果的。途中に出てくるギターの響きは、1960年代のグループサウンズを彷彿とさせる。米国ポップスのようで、そうではない、和製米国ポップスのエッセンスが、アレンジとして散りばめられていて、この大滝バージョンの「さらばシベリア鉄道」は、何度聴いても飽きない。

この「さらばシベリア鉄道」で、ミリオンセラーとなり、大ブームとなった、かの大ヒット作品『A LONG VACATION』が終わる。実に余韻を残した、素晴らしいラスト・ソング。僕はこのラスト・ソングの存在だけで、未だに『A LONG VACATION』に首っ丈である(笑)。
 
 
 
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2008年5月29日 (木曜日)

さらばシベリア鉄道・その1

大学時代、太田裕美がお気に入りだった(今でもだけど)。これ、僕の秘密で、あまり他の人たちに話したことが無い。

大学時代当時は、ロックからジャズに走り出しており、ロックは、AORやアメリカン・ルーツ・ロック、ウェストコースト・ロックが専門の渋好み。周りからは、ちょっと「通」な趣味をしている、と思われていたので、太田裕美が実はお気に入りだなんて、他人には決して言えない(笑)。

ジャズのアルバム購入にバイトで稼いだ金をつぎ込みながらも、密かに、太田裕美のベスト2枚組アルバムを買ったり、貸レコード屋で、オリジナル・アルバムを借りてきてカセットにダビングしたりで、大学3回生の頃には、太田裕美のアルバム・コレクションは完結していたくらいの熱の入れようだった。

彼女の歌の世界が好きなのだ(キャラクターもちょっと好きかな)。特に、松本隆作詞の世界を唄わせたら天下一品。「木綿のハンカチーフ」を聴けば判るでしょう。もともとは、高校時代にこの「木綿」と「赤いハイヒール」「しあわせ未満」など、彼女のシングルを密かに好きになったことが伏線にある。どれもが松本隆の世界なのだ。
 

H_ohta_siberia

 
彼女のオリジナル・アルバムもなかなかに充実したものが多く、聴き応えがある。様々な有名なミュージシャンや職業作詞家、職業作曲家が楽曲を提供している。これが、なかなか優れたものが多い。僕は、今では、太田裕美のアルバムをCDで全て持っている位だ(笑)。

好きな曲は多々あるが、特に好きな曲のひとつに「さらばシベリア鉄道」がある。シングルでも発売され、アルバムでは『十二月の旅人』に収録されている。これも、松本ワールド。この曲は彼女にとって「振り向けばイエスタディ」以来6曲ぶり、2年ぶりの松本作品だった。

松本隆お得意の、コール&レスポンス、つまり「木綿のハンカチーフ」や「赤いハイヒール」でおなじみの、前半を女性の心境で語り、後半を男性の心境で返す、という構成になっている。作曲は大瀧詠一。絶品である。やはり、松本隆の世界を歌わせると雰囲気が出る。太田裕美に合っていると感じた大滝詠一の読みは、まさにピッタリであったと思う。でも、売れなかったなあ。でも、好きです、この曲。
 

悲しみの裏側に何があるの?
涙さえも氷りつく白い氷原
誰でも心に冬を かくしてると言うけど
あなた以上冷ややかな人はいない

君の手紙読み終えて 切手を見た
スタンプにはロシア語の 小さな文字
独りで決めた別れを 責める言葉探して
不意に北の空を追う

伝えておくれ 十二月の旅人よ
いついついつまでも、待っていると。

『さらばシベリア鉄道』
松本隆:作詞 大瀧詠一:作曲
 
 
 
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2008年5月27日 (火曜日)

ロックでのロシアとの関連

ロックって、結構、共産圏でのライブを行っていた、ということを書いた。では、ロシアや東欧諸国が舞台となって書かれた、ロックの名曲はあるのか。

答は「かなり数が少ない、というか、ほとんど無い」。まあ、1970年代の「冷戦」は、かなり深刻なレベルで、自由圏へ、共産圏の情報は、あまり流れてこなかった。

唯一、1960年代のビートルズの「バック・イン・USSR」が有名だが、その他では、なかなか思いつかない。唯一、70年代のプログレ小僧たちがけが、もしかしたら、フッと思い浮かべるかもしれない。イエスの「シベリアン・カートゥル」( Siberian Khatru)を(笑)。

Close_to_the_edge_lp

「シベリアン・カートゥル」は、イエスの5枚目のアルバム『危機(Close To The Edge)』(写真)のLP時代B面の2曲目(ラスト)収録は初出。僕が一番好きな演奏は、『イエスソングス』の、オープニングの、ストラビンスキーの「火の鳥」のテープ演奏から続いて出てくるライブの1曲目。

「シベリアン(Siberian)」は英語で「シベリアの」という意味。ロシアのシベリア地方を指す言葉です。では、「カートゥル(Khatru)」って、どういう意味か。高校時代から調べていますが、まず何語かが判らない。少なくとも英語では無い。辞書に載ってない(笑)。

サーチエンジンで検索してみても、ちゃんとした回答は無くて、作詞者のジョン・アンダーソンの造語っぽくて、以下の様な意味があるのではないか、という説がなんとなく有力かと思っています。
 
・イエメン語で[as you wish=好きなようにやりなさい]
・ロシア語で[冬]
・古代エジプト語で[王]
・サンスクリット語の何か
・意味など無い(jon Andersonの造語)

う〜ん、やっぱり造語っぽいなあ。誰か、イエスのジョン・アンダーソンに直接インタビューして、本当のところをヒヤリングしてきていただけないでしょうか(笑)。
 
 
 
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2008年5月26日 (月曜日)

ライブ・イン・ロシア

ロックの世界は、ワールド・ワイドというが、確かにその通りだよな、と納得できる事実が幾つかある。その一つが、冷戦時代の共産圏でのライブ・パフォーマンス。

今から約30年〜50年前、世界は、資本主義国家(米国)と共産主義国家(ソ連)の二極対立時代で、「冷戦」と名付けられ、核保有と大陸間弾道ミサイルの保有、宇宙開発などの面で、お互いにしのぎを削り、覇権を争った時代があった。

が、しかし、ロックの世界は、そんな「冷戦」なんてなんのその、1970年代から、機会を捉えては、旧ソ連の首都モスクワやサンクトペテルブルグなどでのライブ・パフォーマンスを実現し、意外と自由気ままに振る舞っていた。ちょっと、Googleで検索してみても、

1990年 エイジア『ライヴ・モスクワ 09‐X1‐90』
1979年 エルトン・ジョン『モスクワライブ1979』
1987年 ビリー・ジョエル『コンツェルト・Live in U.S.S.R. 』
1988年末にソ連でのみ発売されたLP
ポール・マッカートニー『Choba B CCCP (Back in the USSR) 』
などなど。
 

Live_ussr

 
古くは、1960年代に、ビートルズが『Back In The U.S.S.R.』をシングルで発表してヒットしているし、なにかと、ロックの世界では、時々、顔を出す共産圏の国々。今では、ロシアについては、共産主義圏から自由主義圏への移行を進めつつある。

遠く学生時代、エルトン・ジョンの『モスクワライブ1979』の話を聞いた時は、なんだかドキドキした。1987年のビリー・ジョエルのモスクワ・ライブを聴いた時は、モスクワ市民の盛り上がり方に驚いた。

鉄のカーテンで、その真の姿が見えない共産圏の国々。特に、ロシアと中国は、その姿が見えないことに不安を覚えたり、恐怖を覚えたりした。そんな時、旧ソ連でのロック・ライブを聴く度に胸をなで下ろしたものだ。なぜって、その熱狂ぶりときたら、資本主義圏の我々となんら変わりのない反応なのだ。

とにかく盛り上がり方一緒で、もしかしたら日本より上かも、と思っている。旧ソ連でのロックのライブ・アルバムを聴く度に思った。音楽の世界は、やはり国境は無いんだと。
 
 
 

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2008年5月25日 (日曜日)

「ロシアの子守唄」の名演は...

ジャズのスタンダードで、「ロシア」にちなんだ曲はあるのか、と問われて、パッと浮かぶのが「ロシアの子守唄」。その代表的演奏と言えば、恐らく、ジャズ・ファンの大多数が、ジョン・コルトレーンの『ソウルトレーン』でのLP時代B面のラスト、超絶技巧な高速シーツ・オブ・サウンドで吹きまくる「ロシアの子守唄(Russian Lullaby)」を挙げるでしょうね。

でも、このコルトレーンの「ロシアの子守唄」は、あまりにアグレッシブな演奏で、とてもとても「子守唄」って感じではありません。とにかく、高速テクニックで、音符を敷き詰めた様に、吹きまくる世界ですから、情緒も感傷もあったもんじゃないです(笑)。

では、他に「ロシアの子守唄」を楽しめるアルバムはあるのか。僕は、ビック・ディッケンソンの『Vic Dickenson Showcase』(写真左)の「ロシアの子守唄」をお勧めします。冒頭の1曲目「ロシアの子守唄」で幕が開きます。

ヴィック・ディッケンソンは、オハイオ出身のジャズのトロンボーン奏者。肉声に近いニュアンスの音と豪快なソロが特徴です。もともと、トロンボーンの音は肉声に近い音と言われ、まるで話をしているようなニュアンスの音が楽しい楽器です。ジャズのジャンル分けでは「中間派ジャズ」というジャンルに分類されています。

Vic_dickenson

「中間派ジャズ」とは、40年代前半のスイング末期から50~60年代のモダンジャズ黄金期までの過渡期に、黒人スイング系ジャズメンを中心に行われたジャムセッション形式のコンボ演奏をいいます。あくまでスイング感を残しながら、アドリブ演奏が繰り広げられるのが特徴です。

『Vic Dickenson Showcase』は、ジャズがスィングからモダンに移行しようとしていた時期のジャズを「中間派」という造語をして(大橋巨泉さんが発案者だそうです)一括りにしたスタイルの音楽で、その「中間派ジャズ」の代表的名演として、基本的なコレクションの一枚と評される一枚。ちょっと古いけどVANGUARD盤だから、録音は良いです。1953年12月29日の録音と、1954年11月29日の録音から構成されています。

このアルバムでの「ロシアの子守唄」は、原曲の美しいの旋律をしっかりと受け止め、さすが「中間派」の演奏で、クラリネットやトロンボーンが大活躍。いわんや、ピアノやトランペットも溌剌と演奏しています。さすが、スイング時代を経験して来たミュージシャン達ですね、ビッグバンドの様な分厚い音の重ね方と、楽器の音の一体感が素晴らしいです。

ということで、「ロシアの子守唄」の決定的名演と問われれば、このビック・ディッケンソンの『Vic Dickenson Showcase』の冒頭1曲目の「ロシアの子守唄(Russian Lullaby)」を挙げます。良い雰囲気の古き良き時代のジャズを感じることができます。
 
 
 
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2008年5月24日 (土曜日)

天使の歌声...Angel Clare

このアルバムの存在を、どれだけの人が覚えているのだろうか。サイモン&ガーファンクル(以下S&Gと略)と言えば、多くの人が「ああ、知っていますよ。明日に架ける橋を歌ったデュオでしょ」という答が返ってくる。

でも、『Angel Clare』と言われて、ピンとくる人はどれだけいるんだろうか。『天使の歌声』という邦題を聞いて、ピンとくる人は、ちょっと確率は多くなるが、どれだけいるのだろうか?

『Angel Clare』とは、サイモン&ガーファンクル解散後、注目を集めるなかでリリースされた、アート・ガーファンクルの1stソロ。1曲目『青春の旅路』、6曲目『友に捧げる讃歌』、7曲目『ひとりぼっちのメリー』っといったヒット曲が収録されたアート・ガーファンクルの初ソロ・アルバムである。

僕は、学生時代、S&Gというと、個人的感覚から言うと、どうしても、ポール・サイモンが胡散臭くて好きになれず、といって、アート・ガーファンクルは、何となく「タカビー」で好きになれず、高校時代、米国ポップス好きからは「S&Gは最高やね〜」と訊かれると、「そうやね〜」と、歯切れの悪い応え方しかできない。

今では、そんな若い時代の印象を除くと、ポール・サイモンのソング・ライティングは素晴らしいし、アート・ガーファンクルのボーカルは実に美しい。

Art_angel_clare

でも、どっちが好きか、と二者択一をせまられたら「アート・ガーファンクル」と答える。S&Gのバンドイメージを形成しているのは、アート・ガーファンクルの美しいボーカルに依るところが大きいと感じているからだ。

よって、僕はこのガーファンクルのファーストアルバム『Angel Clare(天使の歌声)』が好きだ。美しい高音のボーカル。ややビブラートが効果的に響く「はかなさ」。ちょっと鼻にかかったような特徴的な声。

どの曲もガーファンクルのボーカルが映えに映えて、充実感のあるボーカル・アルバムになっている。全編で38分程度という短さが、ちょっと物足りないが、それを差し引いても、このアルバムでの、ガーファンクルの歌声は魅力的だ。

このアルバム、個人的な思い出が多いアルバムである。浪人時代、ロックのアルバムを買わない、と決めてしまった手前、このアルバムが購入できず、このアルバムを持っている友人宅に入り浸った時期があったこと。そして、大学2回生の初夏、大事な人からの音信が途絶えた時、落ち込みながら、ガーファンクルのソロ・アルバムを聴き倒し、さらにどんどん落ち込んでいったこと。

アート・ガーファンクルのソロ・アルバム群は、僕の浪人時代〜大学時代の「幸少なき青春時代」のバックに、ずーっと流れていた、僕にとって特別に大切なアルバム群である。「幸少なき青春時代」なのに、何故「特別に大切」なのかって?

何故って、あの頃の自分は、決して自分の矜持を捨てなかったし、決して、相手を責めることはしなかった。実はそれって、とても個人的には、かなり辛かったけど、ガーファンクルのアルバムが、その他の様々なロックアルバムが、僕の心を支えてくれたからだ。
 
 
 
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2008年5月23日 (金曜日)

醸し出される妖艶さが魅力

晴れが続いて、いきなり暑くなった関東地方。昨日は、部の歓迎会で、帰りが遅くなって、ブログの更新をお休みしました。

さて、最近、やっと、ブリジット・フォンテーヌの『ラジオのように』(写真左)を手に入れました。やっと、というのは、このアルバムの存在を知ったのは、今を去ること20数年前。欲しいなあ、と思いながらも、手に取る度に躊躇し、今日まで至っていたのだ。

このアルバムは、時折、初心者向けのジャズアルバム紹介に顔を出すのですが、バック・バンドが、フリージャズ、即興演奏集団の「アート・アンサンブル・オブ・シカゴ(以下AEOCと略)」なので、ちょっとひるんだ、のが最初の理由。

続いて、ボーカルがフランス人なので、当然、ボーカルの言語がフランス語。フランス語の歌を聴くと、どうしても、シャンソンをイメージして、AEOCのバックで、シャンソンぽいボーカルが流れるのか、と考えると、なんだか強烈な違和感があって、及び腰になったのが第二の理由。
 

Comme_ala_radio

 
で、聴いてみて納得。AEOC+感性の前衛フレンチ・ボーカル。聴き始めはやっぱり、取っつきにくい、ちょっと難解な雰囲気に、ちょっとたじろぎます。フリー・ジャズ、即興演奏集団のバック演奏が、ちょっとアブストラクトで、独特な雰囲気を醸し出して、ジャズ初心者には、ちょっと苦しいと思います。

長年ジャズを聴いてきて、フリー・ジャズもまずまず聴きこなせるようになった今の耳で、やっと、この難解な音楽が醸し出す妖艶さと不気味さと独特さが、何となく理解できるような気がします。これ、正統な意味でのフュージョン・ジャズですね。前衛フレンチ・ポップスとフリー・ジャズの融合。

ブリジット・フォンテーヌの妖艶でシュールなボーカルがたまりません。バックで、これまた、アブストラクトでありながら、正統派前衛ジャズ、AEOCの即興演奏もシュール。アレスキー・ベルカセムのプリミティブなパーカッションが、これまた官能的で良い。でも、この妖艶で前衛でそれでいて、その構築美が美しいこのアルバムの雰囲気。言葉ではうまく言い表せないのがもどかしい。

イチオシは、1曲目の「ラジオのように」でしょう。現代詩を歌うこの曲。実に妖艶で官能的でシュール。ムラムラ・ムンムンします(笑)。シュールレアリズム風の自作の詩を、妖しく迫るように、リズミカルに唄い上げるブリジット・フォンテーヌと、そのボーカルに、ねっとり絡むAEOCのフリーなジャズ。実に格好良いです。

『ラジオのように』、このアルバムは、前衛フレンチ・ポップスと前衛フリー・ジャズ集団の、一期一会の邂逅の瞬間を捉えた、奇跡のようなアルバムです。
 
 
 
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2008年5月21日 (水曜日)

今年の5月、久しぶりに晴れた朝

久しぶりである。久しぶりに晴れた朝。朝はちょっと雲が多かったが、昼前から雲も無くなり、快晴の一日。今年初めて、五月晴れを実感した一日である。でも、今年は、晴れた日は数えるほどの5月。今年の関東地方は天候不順も著しい。

さて、今朝の様に、気温も心地良く、気持ち良く晴れた朝は、幾つか定盤のアルバムがある。その中の一枚、ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani)の『Music』(写真左)である。

ミシェル・ペトルチアーニについて、軽くご紹介しておくと、フランス出身のジャズピアニストで、先天的な障害を持ち、身長は1メートルほどしかなかったが、障害を克服してジャズピアニストとして、メジャーな活躍をした。惜しくも、36歳の誕生日から10日足らず、1999年1月6日に亡くなった。

彼は遺伝的原因から、生まれつき骨形成不全症という障害を背負っており、この障害のために、彼の身長は成長期になっても1mほどしか伸びず、骨はもろく、しばしば肺疾患に苦しめられたのことです。体質上「寿命は20歳程度まで」と言われていたそうですが、実際にはそれよりはるかに寿命を長らえて活躍しました。
 

Michel_petrucciani_music

 
彼のピアノの特徴は、端的に言うと「豪快・深いタッチ・繊細・雄弁・メロディアス」。フレーズを聴けば、彼のピアノと直ぐに判るほど、特徴のあるピアノです。ビル・エバンスをマッチョにして、リッチー・バイラークばりの雄弁さを加えた様な感じですか。でも、繊細・メロディアスの部分が、彼のピアノを優雅にさせる、良い感じのピアノです。

冒頭の「Looking Up」が実に良い。気持ちの良い、清々しい、爽やかな逸品です。ちょっとパット・メセニーを思い出させるネイチャー系ジャズというか、フォーキーなジャズというか、アメリカン・ルーツ・ミュージックのような、なぜか懐かしく癒される、メロディアスで、フュージョン的な雰囲気が実に気持ち良い。

「 Brazilian Suite, No. 2」「Lullaby」もメロディアスで心地良い調べ。かたや、「My Bebop Tune」や「Bite」「Play Me」「Happy Birthday Mr. K」などは、硬派なメインストリーム・ジャズ。硬派なピアノ・トリオ・インプロビゼーション。緊張感溢れる、タイトで雄弁でテクニカルな演奏。深いタッチでゴンゴン、ガンガンいきます。

メロディアスな演奏と硬派な演奏がバランス良く詰まった名盤です。7曲目の「O Nana Oye」、ワールド・ミュージック系のフュージョン・テイストの演奏には、ペトルチアーニ独特のユーモアを感じて、聴く度に「クスリ」と笑ってしまう。

久しぶりに晴れた朝。気温も心地良く、青空を見上げながらの通勤途上。冒頭の「Looking Up」を聴きながら歩く。心も晴れて、心が弾む。気持ちをポジティブにする、ミシェル・ペトルチアーニの『Music』は、僕の「秘密の名盤」である。
 
 
 
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2008年5月20日 (火曜日)

再結成後のMJQについて

またまた、台風が関東地方の太平洋を北上して行った。またまた、風雨強し。それも、朝の通勤時間帯にである。朝、起きた時は、土砂降りの雨と強風。窓に叩き付ける雨の音が鬱陶しい。

朝ご飯もそこそこに、レインコートと登山用スパッツで完全防備し、待機していたら、ちょっと小やみに。「今のうちに行きなさい」と嫁はんに言われて、いつもより15分ほど早く家を出る。お陰様で、駅までまずまず濡れずに行けた。嫁はんに感謝感謝である。

さて、昨日、1974年に解散し、1981年にあっさりと再結成したModern Jazz Quartet の再結成コンサートのライブ・アルバムをご紹介した。これ、なかなかの内容で、最近、結構、愛聴している。アグレッシブな演奏が心地良い。

ジャズの解説書やジャズ・ファンのサイト、ブログを覗くと、再結成後のMJQは、全盛期の演奏を越えることは無かった、なんて御意見が多い。そうでしょうか? まず、MJQの全盛期ってどの辺りなのか、という疑問もある。もともと、MJQは結成された時には、もうかなりの水準のパフォーマンスで、かなり高度な内容での演奏を繰り広げていた。

Mjq_together

再結成後も同様である。当時、1980年代前半と言えば、フュージョン全盛期が過ぎ、ウィントン・マルサリスをはじめとする若手ジャズ・ミュージシャンが中心になって、メインストリーム・ジャズの復活、復権が進められた。そんな中でも、この再結成後のMJQの演奏レベルは高水準。これだけの内容のある演奏が、コンスタントにできるユニットやセッションがどれだけあっただろう。

『Together Again! Live At Montreux Jazz Festival '82』(写真左)を聴いてみて下さい。久しぶりのモントルーということもあってか、素晴らしい内容のライブ演奏が聴ける。冒頭「ジャンゴ」の高速演奏の素晴らしさ。続く、ライブ演目で有名な『Cylinder』も速い。でも、決して原曲の印象と特徴を崩さず、こんな速さでの演奏表現もあるんだ、と感心する。高速演奏でも、MJQは破綻することは無い。インプロビゼーションは、新しい感覚で素晴らしい。

再結成後のMJQも聴きどころ満載だと僕は思います。再結成後のMJQのアルバムが、CDでなかなか手に入らないという物理的な難点がありますが、ジャズ喫茶などでリクエストされてはどうでしょう。

ちなみに、懐に余裕のある方は、昨日もご紹介したボックス盤『Complete Modern Jazz Quartet Prestige & Pablo Recordings』をお勧めします。このボックス盤は、MJQの結成初期の頃と再結成後と、二つのMJQを楽しむことが出来ます。
 
 
 
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2008年5月19日 (月曜日)

MJQ...再結成の思い出

モダン・ジャズ・カルテット(略称MJQ)。Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay(ds)  の4名。1952年、結成当初、ドラムはKenny Clarkeだったらしいが、1955年にConnie Kayに変わっている。

ジャズに興味を持って、初めて買ったアルバムの一枚が、MJQの『ジャンゴ』。これが当たりで、ジャズ初心者としてはラッキーだった。暫く、MJQにはまることになる。でも、当時は既に、MJQは解散して4年。過去の伝説のグループになりつつあった。

が、である。1981年10月、突如として再結成する。この時の武道館のライブ録音をFMで聴いた。MJQのライブ録音を聴いたのは、これが初めてだった(まだMJQのライブアルバムを持っていなかった)。素晴らしい演奏だった。ジャズのライブは凄い、と舌を巻いたのを覚えている。

Mjq_reunion

そのライブを収めたアルバムが『リユニオン・アット・武道館 1981』(写真)。確か、日本限定盤だったような気がします。このライブ録音は、先にお話ししたFM番組のエアチェック・テープ(カセットだよ)があったので、かなり聴きこんだ。で、20年前くらいに、すり切れてテープが切れた。暫く、そのライブ盤の存在を忘れていた。

が、である。2003年に『Complete Modern Jazz Quartet Prestige & Pablo Recordings』がリリースされた。4枚組のボックスセットなのだが、MJQのPrestigeレーベルとPabloレーベルの時代のアルバムが、まとめて収録されている。お目当ては、Pabloレーベル、MJQの再結成後の晩年の録音である。

この中に『リユニオン・アット・武道館 1981』が収録されている。冒頭の「Softly, As in a Morning Sunrise」で、前奏が始まるやいなや、待ってましたとばかりの万雷の拍手。懐かしい。今の耳で聴いても、なかなかに白熱した、テンションが心地良い名演である。特に、ヴァイヴのミルト・ジャクソンとベースのパーシー・ヒースが頑張っている。良い演奏です。

MJQのメンバーは、2005年、ベースのパーシー・ヒースが鬼籍に入って、4人全員が天国に召された。それでも、彼らのアルバムは、そのほとんどがCDでもリリースされ、特に日本では、その人気故、あまり廃盤になることもなく、ショップに流通している。彼らの素晴らしさに、比較的楽に触れることができる環境にあるのは、実に喜ばしいことである。
 
 
 
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2008年5月18日 (日曜日)

Bob Marley,『One Love』

今、NHKのhi-visonで、ハイビジョン特集・世紀を刻んだ歌「ワン・ラブ/ボブ・マーリー」が放映されている。ボブ・マーリーとは、1970年代、世界中にレゲエという音楽を知らしめた、ジャマイカの国民的英雄。

「イマジン」と並ぶ愛と平和を願った歌として、誰もが一度は耳にしている名曲「ワン・ラブ」。この番組はこの愛と平和のメッセージを伝える歌として、99年にはBBCのミレニアム・イブのテーマ曲に選ばれ、現在も、アフリカで、ジャマイカで、欧米で、希望の歌として歌いつがれている「ワン・ラブ」について、様々な角度から、その影響と功績を伝えてくれている。

この「ワン・ラブ」は、世界レベルとしては『Exodus』(写真左)に収録された。狙撃事件後、ジャマイカから脱出したボブ・マーリィーが、1977年にロンドンで録音した『Exodus』。その10曲目に「One Love/People Get Ready」として収録されている。

アメリカ・人種差別撤廃運動の名曲「ピープル・ゲット・レディ」が元歌。それをラジオで聞いていたボブが、歌詞を作り変え、ジャマイカから世界へと広がった。78年には、ジャマイカ内乱を終結させる歴史的コンサートのフィナーレを飾り、80年代初頭には、アフリカ・ジンバブエ独立闘争、さらにボブの死後、この歌は南アフリカのアパルトヘイト撤廃にも関わった、愛と平和のメッセージを伝える歌である。
 

Bob_m_exodus

 
この曲には僕にも強い思い入れがある。1978年、ジャマイカ内乱を終結させる歴史的コンサートのフィナーレを飾ったこの「ワン・ラブ」の情報は、音楽雑誌の記事と米国の政治雑誌で知った。大学の史学研究室に持ち込んだ。その頃、我が史学研究室は「思想の良心的展開の園」として、共産主義の崩壊や民族の独立、人種差別の撤廃に、強い興味を持っていた。

そんな時、『Exodus』が既にリリースされていることに気がついた。ロックとジャズ中心の音楽小僧が初めて、ワールド・ミュージックに触れた。初めて手にしたレゲエアルバムが、この『Exodus』である。1980年のことである。今でも、我が史学研究室に流れた「One Love/People Get Ready」を忘れない。体に電気が走ったような、激しい衝撃を受けた。音楽が政治を変え、人間の思想を変える、その力を初めて実感した曲が、この「One Love/People Get Ready」である。

それ以来、史学研究室では、ことある毎に、この「ワン・ラブ」を皆で歌った。コンパでも、この「ワン・ラブ」と、久保田早紀の「異邦人」は良く歌った。当時は、カラオケがまだ普及していない時代。当然、「ワン・ラブ」や「異邦人」のカラオケは無い。当然、アカペラである(笑)。

今でも、この「ワン・ラブ」を耳にする度に、心が震える。目頭が熱くなる。

One love, one heart
Let's get together and feel all right
Hear the children crying (One love)
Hear the children crying (One heart)
Sayin', "Give thanks and praise to the Lord and I will feel all right."
Sayin', "Let's get together and feel all right."
Whoa, whoa, whoa, whoa
・・・・・  
(『One Love』: Written By Bob Marley, Curtis Mayfield)

21世紀になった今でも、民族の独立、人種差別の撤廃、宗教間の抗争など、様々な問題が未だにある。もしかしたら、1980年前後に比べて、問題は肥大化しているかもしれない。とても、無関心ではいられない。
 
 
 
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2008年5月17日 (土曜日)

国府弘子さんの音楽番組

4月2日から放映しているので、何を今更、とお思いになる方もいらっしゃることとは思うが、NHK趣味悠々の水曜日の番組『国府弘子の今日からあなたもジャズピアニスト』は、ジャズファンにとって、実にためになる番組である。

ジャズの基本である「スイング」「オフビート」「ブルーノート」「リハーモナイズ」「アドリブ」など、言葉では判りにくい、実際に聴いた方が判るキーワードを、回を追って説明してくれている。ゲストの二人については適任だったかどうかは別として、国府弘子さんの説明は、まずまず判りやすい。

それぞれの回のテーマは、以下のとおり。なかなかよく考えた流れのテーマ設定で、スタッフの方々の苦労が忍ばれる。来週の放映は、第8回になる。後2回しか残っていないのか〜。

Hiroko_kokubu_nhk

第1回 スイングってゴキゲン! ~ジャズのリズムにのってみよう~
第2回 ジャズってつまり、自分流 ~メロディーを自由に奏でよう!~
第3回 今日の気分をブギウギで ~アドリブ演奏入門~
第4回 合言葉は「ブルーノート」 ~ブルースをカッコよく~
第5回 自分で見つける、イケてる響き ~リハーモナイズに挑戦!~
第6回 スタンダードを両手で弾こう ~名曲で学ぶ、左手のコツ~
第7回 「枯葉」でアドリブに挑戦! ~いろいろなアイデアを知ろう~
第8回 「テキーラ」でホットに! ~ラテンジャズを弾いてみよう~
第9回 ジャズピアニストは料理人! ~「サマータイム」を味付けしよう~

見逃した方々には、テキストがお勧め(写真左)。このテキストもなかなかの内容で、サンプルの楽譜や、CDが添付されているので、ジャズの基本を勉強するには、うってつけだと思います。

内容も判りやすいですし、ジャズ初心者の方々から上級者の方々まで、それぞれのレベルで、良い勉強になると思います。意外とジャズの経験が長ければ長いほど、ジャズのキーワードについて、感覚では判っているんだが、理屈で説明するのには弱い、という傾向もあるので、ベテランの方々も、一度、目を通した方がいいでしょう。

かく言う僕も、第4回「ブルーノート」の放映は、非常に勉強になった。感覚的には判っていても、じゃあ弾いてみろ、と言われると「あれっ」って感じ。7thの話など、おお〜そうかそうか、って感じで、見ていて実に楽しかったです。
 
 
 
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2008年5月16日 (金曜日)

上質の「伴奏ピアノ・トリオ」

有名なジャズ・ジャイアントだからといって、全ての演奏フォーマットに秀でているミュージシャンは少ない。ジャズ・ジャイアントも人の子、得手のフォーマットもあれば、不得手のフォーマットもある。

と、聴いていて、感じ入ってしまったアルバムとは『The Herbie Hancock Trio '77』(写真左)。Herbie Hancock (p)、Ron Carter (b)、Tony Williams (ds)の、元60年代マイルス・デイヴィス・クインテットのリズム・セクション。ハンコックとしては数少ないトリオでの作品。

ハービーは、インタビューで「ピアノ・トリオは得意な編成では無い。どちらかというと伴奏に回った方が自由に演奏できる」と語っているのを、雑誌で読んだことがある。確かに、ピアノ・トリオの編成では、テーマからアドリブまで、旋律の部分は、ほとんど、ピアノが担当することになる。

ハービーが伴奏に回った時の凄さは、60年代マイルス・デイヴィス・クインテットの諸作品で証明済み。特に、マイルスのバックで、一番凄い、一番マイルスに合ったアコースティック・ピアノを供給したのは、ハービーだろう。ハービーのアコースティック・ピアノは、伴奏に回った時に、その真価を発揮する。
 

Herbie_trio77

 
この『The Herbie Hancock Trio '77』を聴くと、メンバー間のスリリングなアグレッシブなインタープレイが凄い。けれど、ふと「これってバッキングのプレイ・スタイルだよね」と思う。フロントに、マイルス・デイヴィスがいるような、ハービーを中心とするインプロビゼーションに被って、いまにも、マイルスのペットが滑り込んできそうな、そんな錯覚を覚えるのは僕だけだろうか。

「マイルスがいたら、俺たちこんなヒップでホットなバッキングをするぜ。昔とは違うぜ」と言わんばかりに、このトリオ演奏のフロントにマイルスがいるかの如く、マイルスを誘うが如き、火の噴くような、モーダルなインプロビゼーションを繰り広げている。

実に充実した演奏である。でも、これって「バッキングのプレイ・スタイル」。メロディーを追えない分、ジャズ初心者の方々には、ちょっとお勧めしかねます。メロディーよりも、ジャズとしての「演奏のクールさ、ヒップさ」が聴き分けることが出来るようになった、ジャズ中級者の方々にお勧めします。

ジャケットもなかなかのデザイン。特に、トニー・ウイリアムスのドラミングが凄い。インタープレイ、インプロビゼーションの部分に聴きどころ満載。このピアノ・トリオ・アルバムの特徴と凄さとその理由に感じ入ることができたら、既に貴方はジャズ中級者。初心者の方々には難物です。

有名なハービー・ハンコックの名前とピアノ・トリオというフォーマットだけで、盲目的にチャレンジすると、火傷をしますぞ(笑)。出来たら、ジャズ喫茶などで、1回聴いてからの購入をお勧めします(って、CDショップの店員みたいな口ぶりである・笑)。
 
 
 
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2008年5月15日 (木曜日)

この一曲で、ジャズ名盤だけど

やっと晴れた。約一週間ぶりの晴れた朝。やっぱり晴れた朝は気分が良い。良い感じの朝ではあるが、連日の残業で、体調はちょっとお疲れ気味。

ジャズ入門書には、初心者向けのジャズ名盤の紹介が多々されているが、よく見るアルバムの一枚が『Left Alone』(写真左)。マル・ウォルドロンが、ジャズ・ヴォーカル史上最高の女性歌手といわれたビリー・ホリディの死後に捧げた追悼アルバム。

このアルバムの冒頭「レフト・アローン」が人気の秘密。 しみじみと心に染みいる哀歌。生前ホリディが歌っていたパートを、アルト・サックスのジャッキー・マクリーンが、情感豊かに、切々と語りかけるように、唄うように、吹き上げていく。本当に、心に染みるアルトなのだ、これが。なんて表現したら良いんだろう、本当に切々と唄い上げる。アルトの音が、アルトの音程がピッタリ。

「レフト・アローン」以降の曲は、上質のハード・バップではあるが。マル・ウォルドロンのピアノは、執拗に同じフレーズを重ねる、硬質のタッチ。ちょっと初心者には、ハードなピアノかもしれない。でも、ジャズ中級者以上には、結構、イケるジャズ・ピアノなんだけど。っていうことは、何故、初心者向けの入門盤なんだろう。

Left_alone

冒頭の「レフト・アローン」は判りやすい。誰が聴いても良い演奏、良い曲だ。LPの時代は、A面が3曲。「レフト・アローン」「キャット・ウォーク」「恋の味をご存知ないのね」は、初心者でもなんとかなるし、我慢できる演奏時間でもある。LP時代、ジャズ喫茶で良くかかったのも、このA面。

でも、今はCDの時代。LP時代のA面の3曲に加えて、「マイナー・パルセーション」「エアジン」と続く。そして、最後に「ビリー・ホリデイを偲んで」という題で、なんとマル・ウォルドロンのインタビューが入っている。これは、初心者ならずとも、ちょっとジャズに慣れ始めたジャズ・ファンも、ちょっと戸惑うだろう。

このアルバムって、実は、ジャズ中級者向けだと僕は思います。LP時代の3曲であれば、初心者向けのジャズ名盤として、ギリギリセーフだと思いますが、CD時代ではちょっときついかな。でも「レフト・アローン」は本当に良い名演です。この曲だけは、ジャズ初心者の方々には、是非、聴いて頂きたい。ジャズの良さ、ジャズの格好良さが、しっかりと実感できます。

ということは、やっぱりジャズ初心者向けの名盤ってことか? いやいや、冒頭の「レフト・アローン」はジャズ初心者向け。それ以降の曲は、ジャズを親しむにつれて、徐々にジワジワと、その良さが判ってくる曲たち。そんな構成をした、言い換えれば、初心者から中級者まで聴き続けることが出来る、実に「長持ちな」名盤といえるでしょう(笑)。

でも、振り返ってみると、マル・ウォルドロンのインタビューを除けば、演奏部分は、僅か35分しかない。ちょっとコストパフォーマンスは良くないよな〜(笑)。
 
 
 
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2008年5月14日 (水曜日)

ノリノリ...ろっくんろーる

寒い。天気が悪い。憂鬱だ。仕事が忙しい。なんだかパッとしないまま、はや水曜日。水曜日って早帰り日なんだぜ〜。でも、なんだか遅い帰りである。

今日のような、なんだか周りに巻き込まれて忙しいかった仕事の帰りは、すこ〜んと明るい、ノリの良いロックンロールが良い。70年代ロックの世界で、ロックンロールが十八番のバンドって、意外と少ないのだが(ほとんどがブルースあがりなんだよね)、僕は「フェイセズ」がお気に入り。

スモール・フェイセズのロニー・レーン、イアン・マクレガン、ケニー・ジョーンズの三人にジェフ・ベック・グループからロッド・スチュアート、ロン・ウッドが加わり結成された「フェイセズ」。ブリティッシュ・ロックの世界では、ブルースがベースのバンドが多い中で、このフェイセズは珍しく、ロックンロールがベースのバンド。
 
このフェイセズのノリが実に良い。そして、このフェイセズのライブ・アルバムが『COAST TO COAST OVERTURE AND BEGINNERS』(写真左)。絶品のライブ・アルバムである。
 

Fases_live

 
とにかく、楽しいノリノリのライブ。オリジナル曲が少ないとか、カバー曲が多いとか、ロッドが中心だとか、演奏がラフすぎるとか、録音状態が悪いとか、とかくいろいろ注文をつけられるライブ・アルバムだが、なんのなんの、僕はこのライブ・アルバムが好きなんです。

これだけノリの良いロックンロール・バンドは、なかなか無いぞ。自分で演奏してみると判るんだが、これだけノリってなかなか出せない。そして、このラフなロックンロールって、飲んだくれバンドの面目躍如、このラフなノリがフェイセズ。

これがエエねん、これがエエ感じやねん。仕事で疲れた頭にこれがエエねん。冒頭の「It's All Over Now」からノリの良いロックンロール、そして4曲目のバラード「Angel」で癒され、5曲目は極めつけの「Stay With Me」で一丁上がり(笑)。「Stay With Me」が終わって、頭の疲れは解されて、仕事でケンケンしていた神経も丸くなってくる。ストレスも緩和されて、ちょっとニッコリ。

フェイセズは良い。聴いていて楽しいノリノリ...ろっくんろーる。ロックンロールは楽しく無くちゃね。細かいことは気にしない。細かいことは言わない。とにかく、楽しむこと。それがロックンロールである(なんのこっちゃ)。
 
 
 
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2008年5月13日 (火曜日)

ジャズ・オルガンの元気印

台風が来た。太平洋上を北上していった訳だが、このコースを通ると、必ず何らかの影響を受ける千葉県。朝、風雨がちょっと強い。今日は外出があるので、スーツが濡れてヨレヨレになる訳にはいかない。登山用のスパッツを着けて、完全防備で通勤。

しかも、土曜日から寒い。朝は吐く息が少し白い。3月下旬の陽気である。スーツも夏物から間物に戻した。こんなに寒い5月の中旬は記憶が無い。寒暖の差に弱い僕としては、ちょっとしんどい毎日である。

さて、こんな憂鬱な朝には、元気が出る音楽が良い。う〜ん、何が良いか。唐突ではあるが、僕はオルガン・ジャズが好きである。とにかく、ハモンド・オルガンの音色が好き。オルガン・ジャズのファンキーさが実に良い。ジャズ初心者の時に聴いた、ジミー・スミスにぞっこんである。

「元気が出る音楽=オルガン・ジャズ」ということで、半年ほど前、日本人オルガン奏者、敦賀明子のことをご紹介した(2007年10月22日のブログ)。その敦賀明子の『ハーレムドリームズ 』(写真左)を聴くことにした。

Akiko_tsuruga_harlem

敦賀明子と言えば、前にCDショップで、この『ハーレムドリームズ』を聴いたことから始まる。最初は全く誰が弾いているか判らない(新人だから当然なんだが)。聴き耳をたてていると「もうちょっと指が回らんか」とか「スピード感がもうちょっと欲しい」とか、注文をつけたくなった。

これって、聴く側として、ジャズとして、満足できるレベルの演奏になっていることが前提なので、この一曲目の「ラピッド・シェイヴ」を聴き終えて、「誰だ、このオルガン奏者」と思って、カウンターまで、CDのジャケットを見に行ったことを覚えている。

パーソネルは、Akiko Tsuruga(org),Frank Fess(ts),Satoshi Inoue(g),Grady Tate(ds)。とにかく元気一杯の敦賀明子のオルガンである。日本人であるが故に、オーバー・ファンクにならず、ジミー・スミスの様に芸を見せつけるような、大技を見せつけることは無い。

それでいて、ポジティブな躍動感が特徴で、オルガン・ジャズの良いところを聴かせてくれる。速いテンポの曲よりも、バラードのような、ゆったりとしたテンポの曲での表現に、期待を抱かせてくれる。

元気が出るオルガン・ジャズ。ジャケットも良い雰囲気だ。ニューヨークって感じが良いし、そこに移る敦賀明子自身も、彼女のオルガン演奏の様に、ポジティブな明るさが溢れていて、良い感じです。彼女のブログもなかなか興味深くて、愛読している。皆さんもちょっと覗いてみてはいかがでしょう。

敦賀明子のオルガン・ジャズは、ポジティブで、少しだけファンキーで、一生懸命。ちょっとライトな感じのオルガン・ジャズは、日本人ならではの個性だと感じます。このまま、この日本人ならではの、オルガン・ジャズを追求していって欲しいなあ。実は、しばらく見守って行きたいと思ってます。
 
 
 
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2008年5月11日 (日曜日)

チャーリー・パーカーのお勧め

昨日から機嫌が悪い。この歳になると、自分の境遇や行く末に対して、気になることは多々ある。といって、矜持や自尊心をねじ曲げてまで人に仕えるのは、もともと自分の性分では無い。機嫌が悪くなると、とことん機嫌が悪くなる性分なので、なんとか気分転換する必要がある。今日は朝から、書庫の大掃除。

外は季節外れの冷たい雨。最高気温は14度。3月中旬の陽気である。とても、5月中旬とは思えん。それでも、大掃除をしないことには、とにかく機嫌が悪くて、他の事をやる気にならないし、といって、寝てばっかりでは精神的に良くない。

さて、昨日、チャーリー・パーカーの話をした。『Charlie Parker with Strings』は、「ストリングス」のアレンジと演奏が「イマイチ」とした。では、チャーリー・パーカーのお勧めアルバムって何か。

チャーリー・パーカーといえば、ダイアル・セッション、サヴォイ・セッションが秀逸とされる。が、如何せん、1940年代の録音なので、かなり音が悪い。僕は以前より、音楽鑑賞に録音状態って重要だと思っていて、録音状態の悪い演奏は、ちょっと気勢がそがれて良くない。特に、デジタル録音、デジタル・マスタリングの音で育った、今の若い方々には、この1940年代録音の音の悪さはちょっと応えるだろう。

Charlie_parker_recomend

では、そのアルバムの録音状態を勘案しつつ、チャーリー・パーカーのお勧めアルバムを探すと、パーカーの晩年期、ヴァーヴ(Verve)時代(1946年ー1954年)のアルバムということに落ち着く。

お勧めは、チャーリー・パーカーのワン・ホーン作品で、心ゆくまでパーカーの演奏が堪能できる『The Genius of Charlie Parker, Vol. 3: Now's the Time』(写真上左)と、ビ・バップ・ムーブメントの盟友、ディジー・ガレスピーと組んだ『Bird and Diz』(写真上右)。まずは、この2枚がお勧め。録音状態もまずまずですし、チャーリー・パーカーも好調です。

バーチャル音楽喫茶『松和』の中でご紹介していますので、ここをクリック、して下さい。そうそう、『Bird and Diz』の米国盤は、ジャケットが日本盤とは、別のオリジナル・デザインを採用したもの(写真下左)になっていますので、迷わないで下さいね。ちなみに『Now's the Time』は、見慣れたジャケット写真が入っている(写真下右)ので、迷うことは無いでしょう。

Bird_diz_other_2

最近、紙ジャケ再発や、CDフォーマットでのボーナストラック追加の再発などで、アルバム・ジャケットをオリジナル・デザインに戻すことが良くある。これって、時に困ることがある。世の中に一番流通していたジャケット・デザインで記憶しているので、オリジナル・デザインに戻された場合、ジャケットを見ただけでは、アルバム名が出てこない場合がある。

これって、実はちょっと困るんだよね。コレクターとしては、同じ内容のアルバムでも、オリジナル・デザインのジャケットを採用した盤も欲しくなるのだ。まあ、レコード会社としては、マニアの弱点である「それ」を狙っているんだろうけどね(笑)。
 
 
 
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2008年5月10日 (土曜日)

Charlie Parker with Strings

寒い。季節が一ヶ月以上戻ったような、冷たい雨が降る一日。朝はまだ雨は無かったが、昼前から雨になり、午後には本格的に。最高気温が17度前後なので、確かに今日の雰囲気は、3月下旬の陽気。寒暖の差が激しい気候に弱い僕としては、今日は一日、なんとなく体調が良くない。

さて、今日の話題は『Charlie Parker with Strings』。最近、ビ・バップを計画的に再体験していて、バド・パウエルから、この2〜3日前から、チャーリー・パーカーに突入。いろいろ聴き漁っているんだが、今日のメインは『Charlie Parker with Strings』。

僕は、ジャズ初心者の頃から、この『Charlie Parker with Strings』(CDジャケットは左)には、あまり高い評価をつけていない。ジャズ初心者の頃は、ジャズの経験、チャーリー・パーカーの経験が少ないので、自分に理解できるまでの実力が伴っていないから、この『Charlie Parker with Strings』に高い評価がつけられないんだ、と思っていた。

なぜなら、ジャズ初心者向けの入門書や、ジャズ雑誌の特集には、この『Charlie Parker with Strings』が必ずと言っていいほど、紹介されているからだ。つまりは、ジャズ初心者であれば、チャーリー・パーカーのこの『Charlie Parker with Strings』は判らなければならないアルバムであって、これが判らないということは「ジャズを聴く資格無し」という位の評論が添えられているのだ。

でも、僕にとっては、ジャズ初心者の時代から今に至るまで、この『Charlie Parker with Strings』に高い評価がつけられないのは一貫している。

何故か? ジャズ初心者の時に感じたことがそのままなんだが、チャーリー・パーカーのアルトのバックで流れる「ストリングス」のアレンジと演奏が「イマイチ」なのだ。このアルバムに収録された演奏が収録されたのは、1950年。1950年当時は、もしかしたら斬新なアレンジ、斬新な演奏だったかもしれないが、それにしても、このバックのストリングスは、ちょっとレトロな、凡百なアレンジに、僕には聴こえる。
 

Charlie_parker_with_strings

 
しかし、誤解することなかれ。凡百のストリングスをバックに、吹き続けていくチャーリー・パーカーのアルトは、溜息が出るほど素晴らしい。「with Strings」なので、バラードが中心の選曲なんだが、パーカーは、アルトで歌うように、素晴らしいフレーズを紡いでいくのだ。このアルバム、パーカーのアルトを愛でることが目的であれば、最適盤の一枚であろう。

ちなみに、僕はこの『Charlie Parker with Strings』は、LPバージョン(LPジャケットは右)で聴いて育ったので、先頭の曲が「What Is This Thing Called Love?」でないと、なんとなく据わりが悪い。CDバージョンは『Charlie Parker with Strings: The Master Takes』と銘打って、LPバージョンとは、全く異なる曲順で、収録曲もCDの方が圧倒的に多い(LP13曲・CD24曲)。しかも、LP時代に収録されていたA面の7曲目「You Came Along From Out Of Nowhere」が、CDの「Master Takes」に無く、他のCDを調べても見当たらなくなった。どこへ行ったんだ?

この凡百なアレンジと演奏をバックに、CDの様に24曲を聴き通すのは、ちょっと辛い作業だ。特に、初心者の方々にとってはそうだろう。そういう意味では、LP時代の13曲、約40分の収録時間はなかなかリーズナブルな曲編成だったと言える。

そういう意味では、僕はこの『Charlie Parker with Strings』については、LPバージョンの方がはるかに好きだ。よって、CD時代になって、見当たらなくなった「You Came Along From Out Of Nowhere」を除いて、iTunesのプレイリストを使って、CDの収録曲をLP時代の曲順に並べ替えて楽しんでいる。

しかし、日本人のジャズ評論家って「with Strings」ものが好きだよなあ。何故だろう、って考えてみたら、日本人って、ジャズの演奏についても、「メロディーを追う」傾向が強いことに気がついた。だから、スタンダード演奏が好きなんだ。

つまり、ジャズ初心者はついつい、今までの音楽教育の賜である「メロディーを追う」聴き方をしてしまう。だから、メロディアスな演奏以外受け付けない。でも、ジャズの楽しみって、メロディーってほんの一部で、メロディーを追う聴き方は、ジャズに対しては限界があるのだ。

それでも、ジャズを聴き続けて、ジャズ初心者を卒業することには、ビートを追い、奏法の個性を楽しみ、アドリブのヒップさを楽しみ、出てくる「音」のクールさを楽しむことができるようになって、ズブズブとジャズ地獄へ引きずり込まれて行くのだ(笑)。
 
 
 
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2008年5月 8日 (木曜日)

アート・ペッパー前期の定盤

しかし、夜中の地震のおかげで、完全な寝不足である。なんだか暑くて寝付けず、やっとウトウトしだした午前1時過ぎ、一発目がグラッときた。結構揺れたんだが、慣れとは恐ろしいもので、最初は地震かあ〜、でウトウトしていた。

ウトウトしていたら、なんだか背中がユラユラする。軽い眩暈でもしているのか、と思ったら、また、グラッと来た。連続するとは気持ちが悪い。揺れが治まったら、また背中がユラユラする。また地震か、と思ったら、グラッとくる。おいおい、寝られへんやないか〜、と思っていたら、午前1時45分、大きい揺れがドンッと来た。ちょっと慌てましたね。これだけ、連続して揺れた経験って初めて。

ということで、今日は完全に寝不足である。寝不足の時は判りやすいジャズが良い。4月30日のこのブログで、アート・ペッパー後期の傑作ライブアルバムをご紹介した。で、今日は、ペッパーの前期の定盤アルバムを2枚ご紹介したい。

一枚は、必ずと言って良いほど、ジャズ入門書に出てくる『Art Pepper Meets the Rhythm Section』(写真左)。これは確かに名盤。当時のマイルス・デイビス・クインテットのリズム・セクションである、Red Garland (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (d) を従えた、セッション・アルバムである。
 

Surf_meets

 
確かに良い内容である。出だしの「You'd Be So Nice to Come Home To」が全てを物語る。もともと、印象的なメロディーを持った優れたスタンダードである。それを情感豊かに軽やかに爽やかに、歌い上げるように吹き上げて、テーマ・メロディ後のブレイクが格好良く、それに続いて出てくるペッパーのアドリブの滑らかさ、爽やかさ。情感豊かに吹き進めるペッパーは確かに素晴らしい。

しかし、2曲目以降はそれなりで、良いことは良いんだが、出だしの「You'd Be So Nice to Come Home To」が抜きんでている分、ペッパーのアドリブは素晴らしいんだが、印象に残るメロディーラインが少ない、という雰囲気と、バックのリズム・セクションが結構、勝手に飛ばしている感じが、どうしてもフロントのペッパーのアルトと乖離しているみたいで、僕の評価はそれほどでもない。

それより、前期のペッパーのアドリブを愛でるなら『Surf Ride』(写真右)をお勧めする。これぞ、前期ペッパーの名演集。軽やかで爽やかで、生き生きとした躍動感溢れるプレイを展開している。一曲一曲は短いんだが、短い分、ペッパーのアルトのアドリブが堪能できるという仕掛け。

「アドリブが荒々しく、勢いだけで吹いている」、なんていう手厳しい評価があるが、そんなことはない。若さ故の、ピチピチとした輝くようなペッパーのアルトが実に眩しい。アドリブ一発勝負の演奏が、強烈にジャズを感じさせる。そして、ペッパーのアルトが良い音してる。アルトの真鍮が鳴るように、唸るように響くのだ。録音が1953年ということで、録音がちょっと悪い感じはするが、ペッパーのアドリブを聴いていると、そんなことは気にならない。

この『Surf Ride』のジャケットって良いでしょ。このアート・デザインって、ジャズのアルバムでアリなのか、と思う方もいらっしゃるでしょうが、野暮は言わない言わない。これって、当時のウエスト・コースト・ジャズの雰囲気を的確に表しているようで、僕は大好きです。LPジャケット・サイズだったら、額に入れて、壁に掛けて飾りたいくらいです。
 
 
 
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2008年5月 7日 (水曜日)

サザンロックに初めて触れた日

連休が明けたら、とっても良い天気。朝から快晴の千葉県北西部地方。風は爽やか、気温も上がって、初夏らしい気候と相成りました。が、今日から会社です (T_T)。

今日から、満員電車の通勤再開。ゴールデン・ウィーク開けなので、混んでいるやろな、と思ったら、やっぱり混んでた。最近の傾向として、休み明けは必ず混む。皆、休み明けは定時出勤で、他の日は時差出勤なのかしら。

さて、今日の通勤音楽は、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(Creedence Clearwater Revival、略称CCR)。なんて長い名前なんだ。このバンド名の由来ですが、"Creedence"は彼らの友人の名前なのだそうです。そして"Clearwater"は当時流行っていたビールのCMからのパクリで、"Revival"は活動休止状態からの復活宣言だったから、だそうです。

CCRはアメリカのバンドで、アメリカ南部特有の泥臭いサウンドを持ち味としたサザンロックの先駆者的存在。初めて、CCRに触れたのは高校時代。確か「プラウド・メアリー」がFMで流れていて、泥臭くて、渋くて、ブルースやカントリーっぽいアメリカン・ルーツ・ミュージックの雰囲気が素敵で、一発で好きになった。

Ccr_bayou_country

でも、CCRって、メンバーの中で米国南部出身の人間っていないんだよな。皆、カリフォルニア生まれでカリフォルニア育ち。それを知った時は「そりゃ詐欺や」と思った。それほど、彼らの音楽は、米国南部のアメリカン・ルーツ・ミュージックに根ざしたものだった。

今日、聴いたアルバムは、彼らのセカンドアルバムである『Bayou Country』(写真左)。このアルバムを通して聴くと、確かに、メンバーが米国南部出身では無い、ということが良く判る。アメリカン・ルーツ・ミュージックを踏襲しているんだが、とことん泥臭くないし、黒くないし、ファンキー臭が薄い。生粋のサザンロックと比べると、ライトで垢抜けているし、スマートだ。

「プラウド・メアリー」以外の曲には、演奏の端々に、サイケデリック・ロックの影が見え隠れする。リリース当時は1969年。フラワー・ムーブメントとサイケデリック・ロックの最後の時代である。

そのムーブメントの中で、起源への回帰、アメリカン・ルーツ・ミュージックに憧れ、追求したCCRのスタンスはとても良く理解できる。サイケ色は、ちょっと苦笑ものだが、アメリカン・ルーツ・ミュージックに根ざした、スワンプ色の強い、サザンロック的雰囲気は、やはり魅力的だ。

起源への回帰、アメリカン・ルーツ・ミュージックに憧れ、本格的に追求を始めたセカンド・アルバム『Bayou Country』。彼らの初期の傑作である。でも、ジャケットをよくよく見ると、実に「サイケ色」豊かである(笑)。
 
 
 
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2008年5月 6日 (火曜日)

ジャズの小径5月号を更新しました

やっとやっとやっと、晴れたゴールデン・ウィーク最終日。朝は風がちょっと寒くて、どうかな、と思ったが、やっと快晴に恵まれたので、躊躇無く外出だ。電車に乗って、近くのお寺さんへ。

このお寺さん、まずまず有名なんですが、主たる目的は、単なるお参りでは無く、お寺に向かう参道筋に猫が沢山生息しているとのことで、猫探訪と猫の写真を取るのが目的。山門を通ると、なかなか昔ながらの風情のある、こぢんまりした参道が良い雰囲気です。

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11時を過ぎてグングン気温は上がって、真夏の様な日差しが照りつけ、暑い暑い。昨日までなんだかちょっと肌寒い日が続いていただけに、寒暖の差が激しい気候の苦手な僕に取っては、ちょっとしんどい。昼過ぎに家に帰って、ちょっと昼寝をして体力を回復しました。

お目当ての猫たちには、5〜6匹ほど出会えました。気紛れな彼らのこと、出会えるかどうか心配でしたが、午前中のまだ暑くならないうちだったので、よかったです。人間にかなりなついていて、カメラを構えて近づいても、全然逃げません。猫によっては、ニャアニャア言いながら、甘えてくる奴もいて、写真に撮るには、全く問題無し(笑)。こんなに簡単に野良猫のアップの写真が撮れたのは久しぶり。

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さて、今日、我が、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」、毎月更新のコーナー「ジャズの小径」を更新しました。2008年5月号のアップですが、今回のテーマは、ちょっとお勉強モードで、米国・日本以外のフュージョン事情について語っています。

米国以外で、ロックなど、エンタテインメント系の音楽の盛んな国といえば「英国」。今回は、1970年代後半、フュージョン全盛時代の「英国」のフュージョン事情にフォーカスをあてて、その「英国」フュージョンの代表的なミュージシャンの一人である「ビル・ブラッフォード」の初期の名盤2枚をご紹介しています。

今回、ホームページ編集ソフトをバージョンアップして、レイアウトやテキストの扱いが全面的に変わってしまい、ブラウザーで見ると、どんなレイアウトに見えるのかが心配です。Mac標準のSafariブラウザでは自分で確認できるので問題ないのですが(実は、細かい面で制御不可能なレイアウトがあって不満がありますが...フンッ)、WindowsのIEでどう見えるのかが心配です。

明日には、WindowsのIEで確認できるのですが,,,。Windowsユーザーの皆さん、もし、レイアウトが崩れていたら、ごめんなさい。
 
 
 
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2008年5月 5日 (月曜日)

このコンプリート盤は大歓迎!

今日も鬱陶しい天気の千葉県北西部地方。少しヒンヤリする朝。気温もあんまり上がらない。それでも、グズグズ拗ねていても仕方が無いので、朝早々に干潟ウォーキングに出かける。気温が上がらないので、汗もあまりかかず歩きやすい。しかも、今日は子供の日。笹餅と柏餅を手に入れて、ちょっとだけご満悦である。

バージョンアップしたGolive 9へのコンテンツの移行は、困難を極めながらも、今日でやっと、「ジャズ・フュージョン館」「懐かしの70年代館」共に、最低限の基本的な部分の移行は終わった。これで、コンテンツの追加はなんとか継続できる。他の膨大なコンテンツの移行は見送り。一年くらいかけて、追々、移行していくことにした(ハァ〜)。

閑話休題。ジャズの話を。4月23日、ソニー・ロリンズの『Complete Sonny Rollins In Japan』(写真左)がリリースされた。伝説の名演73年東京中野サンプラザ公演に未発表音源を追加して高音質K2HDにてコンプリート化したもの。いや〜懐かしいなあ。LP時代のアルバムは、学生時代にジャズ喫茶で聴きました。で、実は今まで所有してなかった。今回、やっとコレクションに加わりました。

当時のライブのパーソネルは、Sonny Rollins(ts),Yoshiaki Masuo,(g),Bob Cranshaw(b),David Lee,(ds),James Mtume(conga)でした。この1973年の公演のメンバーにはギタリストとして増尾好秋が加わっていました。日本人ギタリストがロリンズ・バンドの一角を占めていたという事実に、学生当時、実に誇らしく感じたことを覚えています。
 

Sonny_in_japan

 
当時、日本人ミュージシャンが、ロリンズの様なジャズ・ジャイアントのバンドに大抜擢されることはかなり珍しいことでした。この1973年の日本公演の時は、「増尾好秋の凱旋ツアー」としてそれこそ主役のロリンズを喰ってしまう程の大騒ぎとなったそうです。

もともと、LP時代より、このライブアルバムの内容は定評がありました。追加収録された演奏も、ただ単に一枚のLPに収録する為に、時間の都合で削られただけだったんだと納得できる、素晴らしい演奏、熱演の連続です。

そのLP時代の部分は、今回のコンプリート盤のDisc1に収録されています。そして、今回、コンプリート化の目玉の追加収録曲はDisc2に収録されています。ちなみに、DIsc1,Disc2の収録曲は以下のとおり。

(disc1)
01.POWAII(Sonny Rollins)
02.ST. THOMAS(Sonny Rollins)
03.ALFIE(Sonny Rollins)
04.MORITAT(Brecht - Weill)

(Disc2)
01.SAIS(James Mtume)
02.GOD BLESS THE CHILD(Herzog Jr. - Holiday)
03.HOLD 'EM JOE(Harry Glenn Thomas Jr.)

1973年の録音なので、ジャズ・テナーの世界は、1967年に亡くなったジョン・コルトレーンの影響が色濃く残っていて、Disc1の「POWAII」やDisc2の「SAIS」などは、まるで、コルトレーンが吹いているみたいです(笑)。

ロリンズらしさは「ALFIE」「MORITAT」「HOLD 'EM JOE」など、歌モノやカリプソ・ナンバーに満載ですね。ちなみに大有名曲「ST. THOMAS」は、ゆったりとして演奏に終始して、アドリブが盛り上がっていくか、ってところで演奏が終わってしまう、ちょっと不完全燃焼な演奏なのであしからず(笑)。

高音質K2HDでのデジタル・リマスターが施されているので、音が更に良くなっているのも良いですね。旧盤を持っている方も、買い換える価値有りです。聴き終えると、スカッとします。良いライブ盤ですよ〜 (^_^)v。
 
 
 
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2008年5月 4日 (日曜日)

クラプトン名盤の30周年記念盤

おいおい、今日は良い天気ではなかったか、行楽日和では無かったか。朝からどんより鉛色の曇り空、お昼前には、強めの霧雨が蕭々と降って、午後になっても一向に天気の回復の気配がない、なんとも鬱陶しい天気の千葉県北西部地方です。気象庁の嘘つき。

ホームページ編集ソフトをバージョンアップして、サイトの旧ファイルの移行に大変苦労している松和のマスターです。

GoLibe 6からGoLive 9へバージョンアップしたんだが、ファイルのレイアウトは総崩れ。仕方がないので、必要なファイルから、GoLive 9で再作成をしているんだが、これがまた、GoLive 9がクラッシュしまくり、変な癖があって、なかなかイメージ通りのレイアウトで再作成できない。誰か助けて欲しいよ、まったく。

それでも、ジャズ・フュージョン館の方は、最低限のファイル再構築を終えて、ホッと一息です。明日と明後日で、懐かしの70年代館の方を再構築しないとね。なんとも、ホームページに総がかりの今年のGWです (>_<)。

さて、昨晩から、エリック・クラプトン(Eric Clapton)の『461 Ocean Boulevard』のデラックス・エディションを聴いている。これ、手に入れてから、幾度となく聴いているが、これが実に良い。
 

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『461 Ocean Boulevard』は、1974年のクラプトン再起のリリース。ヒット曲として、ボブ・マーリィーの「I Shot The Sheriff」のカバーが有名。当時の流行言葉「レイドバック」(リラックスしたムードを意味し、サザン・ロックなどアメリカ南部音楽独特のルーズな雰囲気に対して使われる)満点の雰囲気が素晴らしい名盤である。

このデラックス・エディションには、この『461 Ocean Boulevard』のレコーディング時のアウトテイクと、2枚目には海賊盤の音源としても有名な1974年12月4日&5日ロンドンのハマースミス・オデオンでのライブ11曲が収録されている。この2枚目のライブ11曲が実に素晴らしい内容なのだ。

出だしのアコギ2連発、「Smile」と「Let It Grow」で、もう「参りました」である m(_ _)m。復活ツアーにこんなレイドバックした感じでよいのだろうか、というくらい、リラックスした演奏が心憎い。特に「Smile」って良い曲だよね。この曲はもともと喜劇王チャールズ・チャップリンが映画「ライムライト」の為に作曲したもの。演奏もリラックス度満点の良い内容です。

特に6曲目の「The Sky Is Cryin'〜Ramblin' On My Mind〜Have You Ever Loved A Woman」のメドレーは「もうたまらん」。実に渋いクラプトンのボーカルとギターです。7曲目の「Little Wing」は、かの大名盤である「Layla and Other Assorted Love Songs」に収録の曲ですが、ここでは、もうダルダルのユルユルの「大レイドバック大会」的な演奏になっていますが、じゃあ、だれきった演奏なのかというと、しっかりテンションを張っていて立派。

「EC Was Here」「Just One Night」そして、ボックス盤の「Crossroads 2: Live In The Seventies」など、クラプトンのライブは70年代が一番、と思っていますが、それらに匹敵する、この『461 Ocean Boulevard』のデラックス・エディション収録の「ハマースミス・オデオンでのライブ」である。このデラックス・エディションは、全編デジタル・リマスターされていて音も良い。クラプトン・ファンの方は必聴でしょう。

夕方になっても、鉛色の空は晴れない千葉県北西部地方。なんだか陰鬱な気分。でも、昨日、山菜で大好物の「タラの芽」を買ってきたので、今日は腕をふるってイタリアン。「タラの芽とベーコンのスパゲッティ」を作って気晴らしである(笑)。
 
 
 
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2008年5月 3日 (土曜日)

これはジャズでは無いけれど...

世の中はゴールデンウィーク後半に突入。皆、帰省、海外旅行、国内旅行と三々五々と散っていった。僕はと言えば、先週の風邪の残像と戦いながら、なんだか仕事が忙しい。

木曜日は、とある仕事の中間打ち上げ会。ちょっと遠出をして、家に帰り着いたのが「23時過ぎ」。風邪がなかなかスッキリ抜けないので、直ぐに寝る。翌日の金曜日は、なんだか異様に忙しい日で、仕事が一段落したのが夜8時過ぎ。家に帰り着いたのが「22時」。

遅い晩飯食べ終わったら、既に23時を過ぎていた。依然として、風邪がなかなかスッキリ抜けないので、直ぐに寝る、と思ったが、現在、ホームページの更新ソフトの移行中。ちょっと移行が上手くいかないファイルをさわり始めたら、クラッシュした。クソっ、リカバリーに1時間以上もかかっちまった。

先週風邪をひいて寝込んで、立ち直ったら、仕事の方は、なんだか忙しい日々。私生活の方は、ホームページ作成ソフトのバージョンアップをしたら、HTMLファイルの文字の大きさが、全ておかしくなって、フォントの扱いが変わって、レイアウトが崩れまくって、旧来のファイルがどれも使い物にならないトラブルが勃発。クソっ、Adobeめ、GoLiveめ。

とりあえず、世間の皆さんと同じで、今日からは4連休である。午後から、前に書いたホームページのファイルの再構築を始めたが、移行設計に誤りがあり、4時間ほどの作業時間がほとんど無駄に終わってしまった。あ〜あ、一体何してるんやろ。自暴自棄になりながら、結局は、移行を諦め、一から、再作成の道を選択することとなって、先ほど、やっと1ページ、リカバリーが終わった。はぁ〜。

Herbie_monster

そんななか、流れている音楽は、ハービー・ハンコックの『モンスター』(写真左)。1980年リリースの「完全なディスコ・サウンド」のアルバムである。こりゃ〜もうジャズじゃ無い。なんと歌手を参加させて、ほとんど歌が中心のディスコサウンド。

それでも、この「モンスター」ではサンタナが参加して、結構熱いギターとシンセの掛け合いをやっている。シンセの使い方もハンコックの手癖がハッキリしていて、まだハンコックらしさということではかろうじて残ってる感じですけど、こりゃ〜もうジャズじゃ無い。発売当時は評論家中心に、「ハンコックはここまで来てしまったのか」「ハービー・ハンコック...そんな名前もあったなあ」とか、もはや完全に見放された表現になってました。

でも、僕はこの『モンスター』が好きです。確かにもはや、こりゃ〜ジャズじゃないんだけど、単純なディスコ・サウンドになっていないところが、ハービー・ハンコックの面目躍如たるところかと思います。

とにかく良くできているアレンジ、テクニック溢れる演奏、ひねりを効かせた展開。どれをとっても、当時流行していた俗っぽいディスコ・サウンドでは無い、どこか垢抜けていて、どこかアカデミックさ漂う、「真剣勝負のディスコサウンド」です。適度にテンション張っていて、気軽に聴けない踊れない。あろうことか、ついつい真剣に聴き込んでしまうんですよ。こりゃ〜当然、それほどは売れないですよね(笑)。

ちなみに、この『モンスター』をCDでやっと手に入れました。国内では廃盤状態。米国でも廃盤状態。じゃあ何処で売っとるんじゃい、と思っていたら、英国で売ってました(笑)。即ゲットです。やっとこれから『モンスター』がCDで聴けるようになりました。

ハービー・ハンコックってきっと真面目な性格なんだと思う。この『モンスター』を聴く度に思います。どこか垢抜けていて、どこかアカデミックさ漂う、適度にテンション張っていて、気軽に聴けない踊れない「真剣勝負のディスコサウンド」って、こりゃ〜ハービーならではの仕業なんでしょうね。
 
 
 
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