天使の歌声...Angel Clare
このアルバムの存在を、どれだけの人が覚えているのだろうか。サイモン&ガーファンクル(以下S&Gと略)と言えば、多くの人が「ああ、知っていますよ。明日に架ける橋を歌ったデュオでしょ」という答が返ってくる。
でも、『Angel Clare』と言われて、ピンとくる人はどれだけいるんだろうか。『天使の歌声』という邦題を聞いて、ピンとくる人は、ちょっと確率は多くなるが、どれだけいるのだろうか?
『Angel Clare』とは、サイモン&ガーファンクル解散後、注目を集めるなかでリリースされた、アート・ガーファンクルの1stソロ。1曲目『青春の旅路』、6曲目『友に捧げる讃歌』、7曲目『ひとりぼっちのメリー』っといったヒット曲が収録されたアート・ガーファンクルの初ソロ・アルバムである。
僕は、学生時代、S&Gというと、個人的感覚から言うと、どうしても、ポール・サイモンが胡散臭くて好きになれず、といって、アート・ガーファンクルは、何となく「タカビー」で好きになれず、高校時代、米国ポップス好きからは「S&Gは最高やね〜」と訊かれると、「そうやね〜」と、歯切れの悪い応え方しかできない。
今では、そんな若い時代の印象を除くと、ポール・サイモンのソング・ライティングは素晴らしいし、アート・ガーファンクルのボーカルは実に美しい。
でも、どっちが好きか、と二者択一をせまられたら「アート・ガーファンクル」と答える。S&Gのバンドイメージを形成しているのは、アート・ガーファンクルの美しいボーカルに依るところが大きいと感じているからだ。
よって、僕はこのガーファンクルのファーストアルバム『Angel Clare(天使の歌声)』が好きだ。美しい高音のボーカル。ややビブラートが効果的に響く「はかなさ」。ちょっと鼻にかかったような特徴的な声。
どの曲もガーファンクルのボーカルが映えに映えて、充実感のあるボーカル・アルバムになっている。全編で38分程度という短さが、ちょっと物足りないが、それを差し引いても、このアルバムでの、ガーファンクルの歌声は魅力的だ。
このアルバム、個人的な思い出が多いアルバムである。浪人時代、ロックのアルバムを買わない、と決めてしまった手前、このアルバムが購入できず、このアルバムを持っている友人宅に入り浸った時期があったこと。そして、大学2回生の初夏、大事な人からの音信が途絶えた時、落ち込みながら、ガーファンクルのソロ・アルバムを聴き倒し、さらにどんどん落ち込んでいったこと。
アート・ガーファンクルのソロ・アルバム群は、僕の浪人時代〜大学時代の「幸少なき青春時代」のバックに、ずーっと流れていた、僕にとって特別に大切なアルバム群である。「幸少なき青春時代」なのに、何故「特別に大切」なのかって?
何故って、あの頃の自分は、決して自分の矜持を捨てなかったし、決して、相手を責めることはしなかった。実はそれって、とても個人的には、かなり辛かったけど、ガーファンクルのアルバムが、その他の様々なロックアルバムが、僕の心を支えてくれたからだ。
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