凛としたビターなアルト...
今朝、やっと体調が回復してきたのか、起き抜けの気分が違う。朝ご飯を食べに起きようという気になる。鼻も抜けてきて、やっと食べ物の味が判るようになった。振り返れば、土曜日の午後から床に伏せったので、丸2日程度、寝込んだことになる。いやはや、風邪とはいえ、結構大変だった。
今日はさすがに暖かい。でも、外に出ると風は少しヒンヤリする。なかなか気温が上がらない千葉県である。まだ、体は少し怠いが、寝てばかりでは、明日からの仕事に差し支えるので、散歩がてら買い物に。久しぶりの外出である。なかなかに気分が良い。
この風邪で寝込んだ3日間、寝ながらかなりの枚数のアルバムを聴いたような気がする (^_^;)。それでも、体調が悪い時は悪いなりの、耳障りの良い、落ち着いた感じのピアノ・トリオが中心になる。昨日あたりからは、体調も上向き加減で、アルバムの嗜好もちょっと意欲的になる。
昨日、久しぶりに聴いて感心したのが、アルト・サックス奏者、アート・ペッパーの『コンプリート・ウィンタームーン・セッション』(写真左)である。
このアルバム、1980年9月3、4日の録音、1981年に日本でも発売されている。その時のジャケットデザインは写真右のイラスト仕様のもの。これは日本独自仕様だそうで、僕としては、ペッパーの『ウィンタームーン』といえば、このLP時代のアルバムジャケットの方に馴染みがある。
この『ウィンタームーン』は、ペッパー初のウィズ・ストリングス盤で、ペッパーの後期の傑作とされる。ペッパーは生涯の音楽活動は、麻薬が原因で収監された前と後で、前期・後期とに二分される。後期のペッパーはコルトレーンの影響を受け、コルトレーンばりのエモーショナルな奏法と従来のリリカルで歌心のある奏法が混じり合っていて、このエモーショナルな奏法の部分が、前期の「リリカルで歌心溢れる、加えて天才的なアドリブ」を絶対とするジャズ・ファンからは、どうも評判が悪い。
この『ウィンタームーン』は、ペッパー初のウィズ・ストリングス盤で、ペッパーの後期の傑作とされる。ペッパーは生涯の音楽活動は、麻薬が原因で収監された前と後で、前期・後期とに二分される。後期のペッパーはコルトレーンの影響を受け、コルトレーンばりのエモーショナルな奏法と従来のリリカルで歌心のある奏法が混じり合っていて、このエモーショナルな奏法の部分が、前期の「リリカルで歌心溢れる、加えて天才的なアドリブ」を絶対とするジャズ・ファンからは、どうも評判が悪い。
この『ウィンタームーン』は後期の演奏でありながら、エモーショナルな演奏に走ることなく「リリカルで歌心溢れる、加えて天才的なアドリブ」を思い出したペッパーとして、後期の傑作とされる。でも、それって、LP時代の収録曲だけを聴くとそうなんだけど、CDで再発されたコンプリート盤では、LPに収録されなかったセッションに、エモーショナルな奏法もしっかりと記録されている。
ウィズ・ストリングス盤として捉えるならば、このエモーショナルな奏法を併せ持ってこそ、ウィズ・ストリングス盤として陥りがちな、甘きに流されることもなく、逆に、ウィズ・ストリングス盤ゆえ、控えめながら、エモーショナルな奏法が、このウィズ・ストリングス盤全体の雰囲気を、最後の部分で、しっかりと引き締めているといえるのではないか。
LP時代の『ウィンタームーン』は、当時、少し雰囲気が甘いか、とも思ったが、コンプリート盤では、後期のペッパーの個性と特徴が、ウィズ・ストリングスという特殊なアレンジで実に映えていて素晴らしい出来だと思う。
昔、LP時代に収録されなかった曲を、コンプリート盤と称して、再発する行為については、ちょっと疑問視していたが、今回の『ウィンタームーン』の様に、コンプリート盤が故に、ペッパーの後期について、正統な評価が下せるってこともあるので、一概には言えないな、と思った。ようは聴く方のスタンスと追加収録曲との相対の仕方次第だってことですね。
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