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2008年4月 3日 (木曜日)

ピアニストとしては判りにくい

ハービー・ハンコックについてである。ハービー・ハンコックは、ジャズのミュージシャンとしては、マイルス・デイヴィスやビル・エバンスらと共に、ジャズ・ファンでは無い、一般の音楽ファンにも名前を知られている人気ミュージシャンである。

ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)は、1940年生まれ。米国イリノイ州シカゴ出身のジャズ・ピアニスト、作曲家である。1960年代以降のジャズ・シーンをリードするジャズの第一人者であり、ストレートアヘッド・ジャズ、フュージョン、ジャズ・ファンクなど多彩なジャズ・スタイルが特徴。日本でも人気が高い。

で、彼のデビュー・アルバムである『Takin' Off』(写真左)とセカンド・アルバム『My Point Of View』(写真右)を聴いている。『Takin' Off』はブルーノートの4109番で1962年5月の録音、『My Point Of View』はブルーノートの4126番で1963年3月の録音。ハードバップ全盛期は過ぎ、モードやフリー、ジャズ・ロック、ボサノバなどが入り乱れる「ジャズ多様性」の時代。ハービーは、マイルスの下、モードやフリーを駆使しながら、「新主流派」とよばれる、有望若手メインストリーマーの一人。

どちらのアルバムも「曲が良い」。ハービーの自作曲はどれもが良い。『Takin' Off』の冒頭「Watermelon Man」は、前奏、テーマ共にキャッチャーでファンキーなメロディーが溢れていて「実に良い」。同じ系統の曲は『My Point Of View』でも聴かれる。冒頭「Blind Man, Blind Man」である。この頃のハービーの自作曲には、現代のジャズマンの自作曲に欠けている「キャッチャーで判りやすく口ずさめるようなメロディー」が溢れている。コンポーザー&アレンジャーとしての才能を、既にデビュー&セカンドアルバムで開花させているところはさすがである。
 

Takin_off_my_point

 
では、純粋にピアニストとしてはどうか。これが「判りにくい」。デビュー&セカンドアルバムのハービーのピアノ・プレイを聴くと、その特徴が一聴するだけでは判りにくい。他のジャズ・ピアニスト、たとえば、ビル・エバンスとか、チック・コリアとか、バド・パウエルとか、オスカー・ピーターソンとか、ウィントン・ケリーとか、だとちょっと聴くと誰が弾いているのか、が何となく判るんだが、ハービーはちょっと「判りにくい」。

ファンキーな雰囲気は「ホレス・シルバー」のようであり、和音を叩くように弾いたり、ちょっとフリーっぽいフレーズは「セシル・テイラー」のようであり、耽美的なバラードチックなフレーズを弾くときは「ビル・エバンス」のようであり、つまりは、幾人かの先達のプレイを織り交ぜた、複合的な個性をしている。その複合的な個性の中に、フレーズを転がすように弾く手癖で初めて「ああ、これはハービー・ハンコックのピアノだ」と確信できる。

だからかもしれないが、ハービーにはピアノ・トリオのアルバムが、他のピアニストに比べて極端に少ない。しかも、面白いことに、ハービーのピアノは、ハービーの自作曲で映える。管の入った編成で、ハービーの自作曲が映え、自身のピアノも映えるのだ。

これは、ハービー本人もブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンも十分理解していたのではないだろうか。ブルーノートには、ハービーのリーダーアルバムが7枚ほどあるが、トリオ編成のアルバムは一枚も無い(まあ、ライオンはピアノ・トリオでの録音が少ないプロデューサーではあるんだけど)。

思うに、ハービーは、コンポーザー&アレンジャーとしての才能とジャズ・ピアニストとしての才能を併せて楽しむべきだと僕は思っている。ジャズ・ピアニスト単体では無く、コンポーザー&アレンジャーとと併せた「ジャズ総合力」として、ハービーを愛でないことには、彼の凄さは判らない、と僕は思う。
 
なんてことを考えながら、彼のデビュー&セカンドアルバムを楽しんだ、今日の通勤の往き帰り。周りを見れば、新入社員とおぼしき連中が、あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。まだ、通勤に慣れていないんやなあ。そんな連中を、ちょっと可愛いなと思ったり、ちょっと邪魔やなと思ったり。まだまだ、気温の上がりが鈍い今日一日でした。
  
  
 
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