正統派でブルージー『JUNIOR』
夕方になって少し日差しが戻ったかに見えたが、それもつかの間のこと。この週末は、ず〜っと、どんより曇り空。しかも、北東の風が肌寒く、とても春とは思えない、我が千葉県北西部地方である。ほんとに天気が悪い。春とは思えない肌寒さである。
今日はうちの嫁はん、従姉妹の結婚式に出席の為、朝早く出かけてしまったので、一日お留守番。ということで、今日は一日、サブマシンMacで新マシンへの移行準備に集中する。そう、まだ「準備」である。
ぶっ壊れたメインMacの代わりを発注したんだが、キーボードをUSキーボード(無料だよ)にして発注したら、カスタマイズ品扱いになって、「出荷しましたメール」の出荷場所を見たら、なんと遠く米国カリフォルニアからの出荷になっていた。ということで、手元に来るのは23日。あ〜あ。
さて、今日も一日天気が悪いし、一日、部屋に閉じこもって、サブマシンMacにて、あれこれ移行準備を進めた訳だが、当然、一日中、バックには音楽が流れている。今日は、ロックはレーナード・スキナードを通し聴き、ジャズは、久しぶりに、ジュニア・マンス(写真右)に耳を傾けた。
僕は、ジャズ初心者の頃から、ジュニア・マンスのピアノが好きだ。派手なパフォーマンスは無いし、ジャズの歴史に燦然と名を連ねるジャズ・ジャイアントでは無いんだが、彼の素朴なピアノがとても好きだ。
マンスのピアノは、素朴、シンプル。一聴しただけでは「どこが良いんだ、このピアノ」と思ってしまうが、じっくり聴き進めると、ブルージーで、そこはかとなく漂う「黒さ」が何とも言えず良い感じで、しかも、テクニックは一級品。長く聴き続けることの出来る、飽きの来ないジャズ・ピアニストの一人である。
「トラディショナル・モダン」という言葉がある。アルト・サックス奏者、ジャズ・ジャイアントの一人、キャノンボール・アダレイの口癖だったそうだが、ジャズの伝統をよくわきまえながら、しかも、前向きの姿勢を取って演奏していこう、というジャズ・アプローチの姿勢を言うらしい。そういう意味では、ジュニア・マンスのピアノは「トラディショナル・モダン」。
そのマンスの「トラディショナル・モダン」らしさが出たアルバムが、デビューアルバムのJunior Mance『JUNIOR』(写真左)。ベースがレイ・ブラウン、ドラムがレックス・ハンフリーズのトリオ構成。
まず、印象的なのが、ブラウンのベース。ブンブンブンブンと、思わず「これぞウッド・ベース」と感嘆の声をあげてしまうほどの、実に強烈なウォーキング・ベース。ハンフリーズのドラムは、ラフな音でありながら、しっかりと締まったドラミングで、全体の雰囲気をギュッと引き締める。このブラウンのベースが、ことのほか覚え目出度い『JUNIOR』ではあるが、やはり、主役はマンスだろう。
「当時、既に人気ベーシストであったブラウンは、新人のマンスを見下していた。マンスの意向に関わらず、新人の為に弾くのでは無い、我が道を行くベースを弾いた。ハンフリーズは、それを目の当たりにして、我関せず、自分の仕事に徹した。マンスは、そんな中、淡々とピアノを弾き続けるしかなかった」という無責任な評論があるが、とんでも無いと僕は思う。
マンス、ブラウン。ハンフリーズ、三位一体となったトリオ演奏が、このアルバムの味わいどころ。それぞれの曲の演奏のバランスをみると、ブラウンとハンフリーズは、精一杯、マンスを盛り立てていたと思う。そして、録音のバランスを平等に割り振ったところに、このアルバムの勝因がある。つまり、ミュージシャン達と裏方のプロデューサー+録音陣が一体となって、この名盤がある。
素朴、シンプル、ブルージー、で、そこはかとなく漂う「黒さ」。ジュニア・マンスのピアノは飽きが来ない。これぞ「トラディショナル・モダン」である。
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