最近のトラックバック

« テオ・マセロ...ご冥福を祈ります | トップページ | これは絶対、外せない! »

2008年3月12日 (水曜日)

「テオ・マジック」との出会い

ちょっと風の寒い朝。でも、芯から冷え込む寒さではない。朝の太陽は日差しが豊かで、風は少し冷たくても、気持ちは「春」。朝、会社へ向かう、歩くテンポもちょっと「ウキウキ」。

う〜ん、僕って、結構単純になったなあ。天気や気候が良いと、仕事なんかで多少面白くない事があっても「パッ」と忘れてしまう。今朝も「パッ」と忘れてしまった(笑)。だから、結構、他の人から見ると、結構タフな環境に僕はいるらしいのですが、あんまりストレスに感じないのかもしれない。

閑話休題。さて、昨日、テオ・マセロの訃報について書いた。では、僕が始めて、テオ・マセロの成果、いわゆる「テオ・マジック」の出会ったアルバムってなんだろう、と考えた。う〜ん、そうそう、時は大学時代に遡る。

高校1年生の冬、マイルス・デイビスの1975年2月1日大阪はフェスティバルホールでのライブ実況録音(後に『アガルタの凱歌』としてリリースされる)をFMのエア・チェックで手に入れた。そして「聴いた」。その内容に「たまげた」。

本当にビックリした。エレクトリック・マイルスの初体験。しかし、その頃は、ロック小僧真っ只中。ジャズのアルバムを購入するだけの資金がある訳ではなく、このライブ実況録音のテープだけを、時々、引っ張り出してきては聴いていた。

Jack_johnson_miles_davis

そして、大学に入って、アルバイトをして、ちょっとまとまって、LPの購入資金が手に入る様になり、ジャズのアルバムを主に購入するようになる。そして、エレクトリック・マイルスの、最初に購入したアルバムが『Agharta(アガルタの凱歌)』。そして、2枚目が『A Tribute to Jack Johnson(ジャック・ジョンソンのテーマ)』(写真)である。この『A Tribute to Jack Johnson』は、「一目惚れ」ならぬ「一聴惚れ」だった。

LPのA面を占めた「Right Off」で、もう「ぞっこん」である。エレキギターのカッティングが格好良い、ドラムの叩き出すビートがクール、そして、マイルスのトランペットが素晴らしい。これはファンク・ロックだ。しかも、どのロックバンドよりもテクニックに優れ、どのロックバンドにも出せないファンキーなビートをフレーズを叩き出す。そして、マイルスがトランペットで、歌う、シャウトする、叫ぶ。マイルスのトランペットは「ロックのボーカル」そのもの。

そして、LPのB面を占めた「Yesternow」の幽玄で、幻想的な音世界。決して、ロック畑のプログレバンドには出せない、複雑なフレーズと音の広がり。これはプログレッシブ・ロックだ。サイケデリックで浮遊感のあるフレーズを繰り返す。

この『A Tribute to Jack Johnson』の素晴らしさは、ビートやフレーズを繰り返しながらも、1曲20分以上、テンションを維持し、緩急をコントロールし、聴き手に適度な緊張感と集中力を持続させる展開である。これこそが、プロデューサーのテオ・マセロの「テープ編集」のなせる技である。

集中して注意深く聴くと、テープ編集している部分が良く判る。それでも、このアルバムは最高のパフォーマンスを提供してくれる。最高のミュージシャン達が提供した最高の音の素材を、テオはテープ編集によって、最高のパフォーマンスに仕立て上げる。

僕はこの『A Tribute to Jack Johnson』と『Agharta』の二枚のアルバムで、エレクトリック・マイルスに、どっぷりとはまりました。特に、『A Tribute to Jack Johnson』は何度聴いたか知れない。気合いを入れる時は、A面の「Right Off」、ゆったりと寛ぎたい時は、B面の「Yesternow」。

これぞ「テオ・マジック」。編集の妙で、これほどまでのテンション溢れる、最高のパフォーマンスを提供する。テオのプロデュース能力が如何に優れていたかを物語る。当然、マイルス・バンドの演奏が、当時、最高峰のエレクトリック・ジャズ演奏を、素材として提供したという前提は必須要件だけれどね。

『A Tribute to Jack Johnson』って、スタジオ録音を素材としての、テオの最高傑作と僕は思う。適度な加工で最大限の成果。こういうものって、さわり過ぎても駄目だし、さわりなさ過ぎても駄目なのものだが、テオは、このアルバムではこの「塩梅」が最高なのだ。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 

« テオ・マセロ...ご冥福を祈ります | トップページ | これは絶対、外せない! »

コメント

「松和」マスター様、団塊オヤジです。
マスターの年齢はどれくらいだろうか?等ブログを見ながら想像してましたが、どうやら私より一世代お若いようですね。
仕事の方もまだまだ現役バリバリで頑張っておられる中で、趣味の音楽にも積極的に関わっておられる姿勢に感心します。
電化マイルスについて、マスターが書いておられる”マイルスのトランペットは「ロックのボーカル」そのもの”という表現は素晴らしいと思います。私もまさに電化マイルスのペットはJAZZトランペットというジャンルを超越したものだと思っており、そのような気持ちで聴かないと電化マイルスの素晴らしさは分からないかもしれませんね。それでは・・。

いらっしゃいませ〜、minato-uchidaさん。松和のマスターです。

僕の歳ですか〜。フフフッ、大学時代、フュージョン全盛期でしたから、
フフフッ、そうですね〜、minato-uchidaさんと一世代違いかな〜。

マイルスの自伝を読むと、彼は、トランペットで愛の歌を唄い、
愛を囁き、女をくどく、そうです(なんて格好良くて、ハード
ボイルドなんだ)。そう、マイルスにとっては、トランペットは
肉声の代わりなんですよね。

その魅力が最大限に発揮されたのが、エレクトリック・マイルスの
時代です。ワウワウをかました彼のペットの音は、まさに肉声です。
歌うマイルス、囁くマイルス、女をくどくマイルス、実に魅力的です。
 

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/11225799

この記事へのトラックバック一覧です: 「テオ・マジック」との出会い:

« テオ・マセロ...ご冥福を祈ります | トップページ | これは絶対、外せない! »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ