これまた異色のデュオである
チック・コリア(Chick Corea)といえば、僕の大好きなジャズ・ピアニストなんだが、異色のデュオ名盤の仕掛け人としても有名なミュージシャンである。
ゲイリー・バートン(vib)やボビー・マクファーリン(vo)とのデュオ名盤は有名で、ピアノ連弾としては、ハービー・ハンコックとのデュオが有名。ジャズの世界で、デュオといえば、ピアノとベース、ピアノとサックス、ピアノとギターが定番なんだが、チックの仕掛けるデュオはちょっと違う。
今回、チックが仕掛けたデュオは、なんと「バンジョー」。バンジョーとは、アフリカ系アメリカ人が、アメリカにおいて、アフリカのいくつかの楽器の特徴を取り入れて生み出した撥弦楽器(写真右)。今日ではバンジョーは通常、カントリー音楽やブルーグラスで使用される楽器とされる。
しかしながら、アメリカで発展完成された現代のバンジョーは、ディキシーランド・ジャズによく使われる4弦バンジョーとブルーグラスやオールドタイムで使われる5弦バンジョーを筆頭に、様々な形態に分化している。ということは、バンジョーって、ジャズの歴史から見ても、無関係な楽器じゃ無い訳だ。
今回、入手したのは、その「デュオ名人」チック・コリアとバンジョーの名手ベラ・フレックとの共作アルバム『Enchantment(エンチャントメント)』(写真左)。ベラ・フレックは、伝説的なブルーグラス・バンド、ニューグラス・リヴァイヴァルに在籍し、後に自らのバンド、ベラ・フレック&フレックトーンズを結成しその実力を世に知らしめたハイテク・バンジョー・プレイヤーとのこと(不明ながら僕は知らなかった)。
ジャズ・ピアノとバンジョー。どんな音楽になるのか、興味津々でしたが、これがまあ、なかなかのものでして。良い雰囲気です。バンジョーが、ジャズの雰囲気にピッタリあった、メランコリックな、ブルージーな、はたまた、エモーショナルな音が出せる楽器だとは思わなかった。カントリー&ウエスタンの演奏での、あのバンジョーの、あっけらかんとした、明るい雰囲気の音に騙されてはいけません(笑)。
さすがに、チックも、バンジョーとのデュオには、ちょっと構えたみたいで、「スペイン」とか、キャッチャーな有名曲はもってきませんでした(笑)。でも、このアルバムを聴く限りは、「スペイン」とか「ラ・フィエスタ」とか、アレンジ次第で演っても大丈夫だと思いましたが、どうでしょうか。
ジャズ・ピアノとバンジョー。ぱっと見、アンマッチな組合せですが、聴いてみると、なかなかいけます。バンジョーがですよ、こんなにジャズに合うとは思わなかった。面白い組合せです。それでいて、中身の演奏は、ジャズとして正統派。これこそ、フュージョンというのかもしれない。
カントリー&ウエスタンの花形楽器バンジョーをも受け入れてしまうジャズというフォーマット。いや〜、奥が深いですね。
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