久々にキースを聴きたくなった。
「読書の秋」というが、僕にとっては「ジャズの秋」。いつの頃からか、夏が去って、秋真っ盛りになると、無性にジャズが聴きたくなる。このところ、ジャズ三昧である。我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」のお客様には、申し訳なく思ってます m(_ _)m。
さて、スイング・ジャーナルの最新刊11月号の、キース・ジャレットの『My Foolish Heart: Live at Montreux』のレビュー記事を読んでいて、久しぶりにキース・ジャレットが聴きたくなった。
が、キースのスタンダードもちょっと食傷気味で、純粋なフリー・インプロビゼーションが聴いてみたい。ということで、選んだのが『Inside Out』(写真左)。2001年リリースの、最後の1曲を除いて全てがインプロビゼーションという、全編がスタンタード集でない「スタンダーズ」のライブ。そうそう「スタンダーズ」とは、キースをリーダーとした、ゲイリー・ピーコック(b)、ジャック・デジョネット(ds)とのピアノ・トリオの愛称。
これが、なかなかに充実した内容で、さすが「スタンダーズ」は、オールマイティな、最高峰のジャズ・ピアノ・トリオである。久しぶりのスタンダーズのフリー・インプロビゼーションなので、この『Inside Out』を聴く前は「どうかな〜」って感じでしたが、聴き進めるにつれ、いやいや、どうして、凄い内容で、聴いた後の充実感はかなりのもの。
特に、2曲目のタイトル曲「Inside Out」。アメリカン・ルーツミュージック的な雰囲気で、アーシーでゴスペルチックな演奏が素晴らしい。近年はあまり演奏されることの無かったフィーリングの演奏なんですが、キースのピアノ演奏のルーツのひとつで、彼は、このアメリカン・ルーツミュージック的な演奏が得意中の得意です。彼の初期の頃のアルバムに、このアメリカン・ルーツミュージック的な演奏を聴くことができます。
この『Inside Out』というアルバム、基本的には、フリー・インプロビゼーションが中心のライブ集なので、ジャズ初心者の方にお勧めするのは、ちょっとためらいますが、逆に、2曲目の、キースのルーツ・ミュージックである「アメリカン・ルーツミュージック的な演奏」を体験し、ピアノ・トリオでの「上質のフリー・インプロビゼーション」を体験するには、良いアルバムだと思います。音も良いですしね。ただ、ちょっとばかし、例のキースの「うなり声」が出てきますが、1曲目に出てくるだけで、後はかなり「おとなしい」です。
そして、お口直しというか、デザートというか、ラストに、十八番のスタンダード曲が出てきます。「When I Fall In Love」なんですが、これがまた良い。スタンダーズのアルバムでも何度か録音されている曲ですが、ここでの演奏も良いですよ。テンション高く、丁々発止なフリー・インプロビゼーションの後なので、なんだかホッとします。
良いアルバムです。やっぱり、改めて聴くとキースは良いなあ。スタンダーズも良いなあ。これで、手に入れようと、早々にネットで発注した最新アルバム『My Foolish Heart: Live at Montreux』が楽しみになってきた。
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