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2007年10月26日 (金曜日)

これは素晴らしい記録である

ふ〜っ、辛い一週間だった。月曜日から体調が悪く、それでも、何かといろいろあって休むことも出来ず、逆に休んだら、暫く立ち上がれないかもしれない、という不安もあって、なんとか今日まで引っ張ってきた。ふ〜っ、明日は休み。それでも、明日は何かと忙しく、なかなかゆっくり出来ないなあ。

ジャズの歴史の中で、伝説的なグループ、伝説的なリーダーがいる。筆頭は、マイルス・デイヴィス(tp)。彼は、その時代その時代の「クールなビート」、「クールな音」をジャズの中に取り込み、常に新しいジャズを我々に示してくれた。ジャズの進むべきひとつの道を、強力に照らし示す「燈台」の様な存在だった。

続いては、アート・ブレイキー(ds)。彼は、伝統的なジャズを、その時代その時代で維持し、存続させた。彼は1950年代以降、「ジャズ・メッセンジャース」の総帥として、数々の有望な若手ミュージシャンを発掘し、ジャズ界の主要ミュージシャンとして育て上げ、独立させていった。ジャズの神髄を究める最初の第一歩は「伝統的なジャズを極める」ことにある。彼のジャズ・メッセンジャースは、ジャズの「道場」の様な存在だった。

そして、次に控えるのは、チャールズ・ミンガス(b)。彼は、伝統的なジャズの範疇で、最先端の音を追求し、最先端の音を極めていった。実にとんがった存在である。彼は、コンポーザー/アレンジャーとしての能力が高かった、と睨んでいる。ベーシストとしてでは無く、コンポーザーとして、アレンジャーとして才能を発揮し、コンダクターとして、グループのメンバーを実地演奏で鍛えていった。ジャズの「演習場」の様な存在だった。
 

Charles_mingus_cornell_1964

 
今日は、そのチャールズ・ミンガスのアルバムのご紹介である。最近手に入れて、「これは素晴らしい記録だ」と唸ったのが、「Cornell 1964  Charles Mingus Sextet with Eric Dolphy」(写真左)である。1964年3月にアメリカのコーネル大学で録音されたミンガス六重奏団のライヴ。 メンバーはリーダーのチャールズ・ミンガス(b)の他、ジョニー・コールズ(tp)、 エリック・ドルフィー(as.bcl.fl)、クリフォード・ジョーダン(ts)、 ジャキ・バイアード(p)、ダニー・リッチモンド(ds)。

凄いライブの記録です。1964年という時代を振り返ってみても、その演奏内容は、相当に「とんがっている」。フリーならず、モードにもならず、伝統的なジャズからは完全に「はみ出ている」んだが、ギリギリのところで、最高にジャズしている。選曲もユニーク。「Take the "A" Train」の様なジャズ曲の定番あり、「When Irish Eyes Are Smiling」の様なアイリッシュ・フォーク風あり、「Jitterbug Waltz」の様なワルツあり。バラエティに富んでいるが、どれもが、ミンガスの手にかかると、ミンガス・ミュージックの引き立て役に早変わり。

とにかく、エリック・ドルフィーが、とんがりまくっている。ジョニー・コールズのトランペットが、とても優雅で華やか。ミンガスのベースは骨太で頑強。ドルフィーの攻撃をものともしない頼もしさ。というか、ミンガスの骨太ベースをバックに、フロントのミュージシャンが皆、安心して、心おきなく、やりたいことを存分にやり、その実力を存分に発揮している、そんな雰囲気が、このライブ・アルバムから強く伝わってくる。

といっても、ライブ録音を、ほとんどそのまま、CDにしているので、冗長な部分や、演奏的にスベッた部分があるのは否めない。録音状態も最良とは言えない。しかも、演奏内容がかなり「トンガっている」ので、ジャズ初心者の方は、恐らく拒絶反応を示す確率が高い。このライブ盤は、ジャズ中級者向けでしょう。それでも、ミンガス・グループが、いかに優れたグループだったのか。この記録はそれを十分に証明しています。

チャールズ・ミンガスについては何故だか判らないんだが、日本での評価と人気はイマイチに思える。でも、このライブ盤を聴いても判るとおり、ジャズ界の歴史の中で、マイルス、ブレイキーに次ぐバンド・リーダーだろう。う〜ん、僕たちはもっともっと、ミンガスを聴かなければならない。
 
 
 
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