スムーズ・ジャズの父である
涼しくなった。つい最近まで暑い暑いと言っていたように思うが、本格的な秋の涼しさである。今年の暑さは厳しく長かった。久しぶりに暑さが原因で、体調を崩した。まだまだ全面的に回復した訳では無い。それほど、今年の夏の暑さは厳しく長く、相当のストレスになった。
さて、これだけ涼しくなって、秋の夜長を楽しめるようになると、決まって、聴きたくなるアルバムがある。大学時代、ちょうどフュージョン全盛期。ジャズ初心者として、純ジャズを思案投げ首しながら聴き進めていたが、純ジャズは難物だった。なにが良いかも判らず、途方に暮れたこともあった。そんな時、悩みの心を癒してくれたのがフュージョンである。
その「癒し系フュージョン」の最先鋒が、グローヴァー・ワシントン・ジュニアである(Grover Washington Jr. 1943年12月12日–1999年12月17日)。グローヴァー・ワシントン・ジュニアといえば「スムーズ・ジャズの父」と呼ばれる。フュージョン界の中で、スムーズ・ジャズの礎を作った人物として知られる。
その心地の良いサックスとバック演奏。軽音楽風かと思えば、その演奏を聴けば、それは明らかに違うことが判る。バックの演奏も結構硬派で玄人好みの演奏を繰り広げ、ワシントンのサックスも、芯があって、単なる受け狙いの、使い捨ての心地良さでは無い。
代表作はやはり「Winelight」でしょう。確かにこのアルバムは、フュージョンのジャンルでの圧倒的な名盤である。とにかく心地良い。癒される。それでいて玄人好みの渋い演奏。何を言うか、純ジャズに比べたら砂糖菓子の如しじゃ、と一笑するベテランのジャズ愛好家の方もいらっしゃるだろう。でも、70年代ロックから入った僕の耳からすると、このエレクトリックなフュージョン演奏は、決して砂糖菓子ではない。芯のあるプロの演奏である。
しかしながら、この「Winelight」は、日のあるうちに聴くには、ちと雰囲気がありすぎる。「Winelight」は、夜遅く、床につく前、バーボン片手に、静かな夜の静寂を楽しみながら耳を傾けるのにピッタリのアルバムである。では、朝とか、日のあるうちに楽しむワシントンのアルバムはあるのか。
これがあるのですね。そのタイトルもピッタリ、Grover Washington Jr.『Come Morning』(写真左)。1980年、「Winelight」の一枚前のアルバムである。良い雰囲気のアルバムです。明けかけた紫色の空に、朝靄のかかったような、清々しい曲調の、冒頭の1曲目「East River Drive」。この冒頭の演奏を聴くだけで、この「Come Morning」は、日のあるところ、ついては「朝」の雰囲気であることが判る。そう言われれば、ジャケット写真もその雰囲気にピッタリ。
朝靄かかり、日が昇る寸前の、晴れ渡った早朝の雰囲気が実に清々しく、良い感じ、良い雰囲気のアルバムです。次作の「Winelight」と並んで、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの代表作でしょう。
この「Come Morning」を手に入れて、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの主なアルバムを手に入れた。さあ、そろそろ、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」にアップしようではないか(笑)。
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