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2007年9月12日 (水曜日)

いつかはきっとこのピアノを

涼しくなった。昨日は、突然、強い雨が降って来たかと思えば、しばらくしてカラっと上がり、また、突然、強い雨が降って来たかと思えば、しばらくしてカラっと上がる。雷は鳴るわ、劇的な天気の変化。今朝もその名残があって、午前中は不安定な天気。でも、午後からゆっくり回復して、夕方は涼しい空気でちょっと爽やか。やっと、秋が来たかな、という雰囲気。

そんな雰囲気の中、帰りの通勤音楽は、Thelonious Monk『Genius of Modern Music: Vol.1』(写真左)。セロニアス・モンク。ジャズ界で、断トツにユニークなジャズ感覚の持ち主。今までのジャズの歴史の中で、最大の個性。その独特のタイム感覚、ハーモニー感覚、リズム感覚。言葉では言い表せない、う〜ん、なんて言ったらいいか。そう「聴けば判る」。

ジャズ初心者の方には、決して、是非聴いて下さいとは言えない、その独特のタイム感覚、ハーモニー感覚、リズム感覚。僕もジャズ初心者の頃に購入した、彼のソロ・ピアノ集『Thelonious Himself』(写真右)。これが難物だった。

購入した動機は、実に単純。かのマイルス・デイビスの名演で名高い「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」の作曲家がモンクであったこと。それから、そのモンクとマイルスとのエピソード「クリスマスの喧嘩セッション」(これは事実と違うことが判っているが)。
 

Thelonious_monk

 
この2つから、セロニアス・モンクに興味を持って、なけなしの小遣いを叩いて手に入れた。これが、である。その独特のタイム感覚、ハーモニー感覚、リズム感覚に、完全に度肝を抜かれた。購入を激しく後悔した。自分はピアノを弾いた経験があったので、彼が高度なテクニックを有しているのは判ったが、それを凌駕する驚愕の音だった(笑)。

さて、話を『Genius of Modern Music: Vol.1』に戻そう。ブルーノートの1510番。モンクは、作曲の才能にも高い評価がある。「ラウンド・ミッドナイト」「ルビー・マイ・ディア」「エピストロフィー」「ミステリーオーソ」等々、モンクの手なるモダン・ジャズの名曲がキラ星の如く並ぶ。

収録された演奏は、さすがに、このモンクの独特のタイム感覚、ハーモニー感覚、リズム感覚に合わせる事の出来る、モンクのピアノにピッタリとあったミュージシャンはいなかったらしく、演奏はなんとなくまとまりの無い、バタバタの演奏もあったりするが、モンクのピアノとモンクの個性は申し分無い。モンクを聴く限りにおいては、この「ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.1」は申し分ないアルバムである。

決して、ジャズ初心者の方々には、積極的にお勧めすることの出来ない「セロニアス・モンク」。いつかはきっとこのピアノを愛でる時が来ると思います。恐らく、この「セロニアス・モンク」を愛でる時が来れば、きっとその時が、ジャズ初心者を卒業する瞬間なのではないでしょうか。なにを隠そう、僕もそうでした。実のところ、初心者の頃は、さっぱり判りませんでした、モンクの良さ、モンクの価値を・・・・。
 
 
 
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