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2007年8月 7日 (火曜日)

「ジャケ買い!」と思ったら・・・

もう言い飽きたが、暑い。蒸し暑い。朝から、部屋の気温は30度を超えている(朝日をモロ浴びる部屋なので仕方ないけど)。クールビズ+ビジネス・カジュアルがスタンダードになってしまった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか。

さて、「ジャケ買い」という言葉がある。ジャケットの優れたデザインに惹かれて、ついつい衝動買いしてしまう様を「ジャケ買い」と言うが、意外とこれが当たることが多くて、「優れたジャケットには、優れた音楽が宿る」という法則はアリだと思いますね。

しかし、時には、この「ジャケ買い」伝説が外れるときがある。その時の失望感といったら、言葉では言い表せないほどの驚愕と落胆である。特に、この「外れ」が、金のない高校時代、大学時代であれば、驚愕と落胆は倍増する(笑)。

「ジャケ買い」と思ったら、「あ〜、これは違った」という、「ジャケ買い外れ」のアルバムの一つが、ピート・シンフィールドの「スティル」(写真左)。ピート・シンフィールドとは、イギリスのロンドン生まれの詩人・作詞家。初期のキング・クリムゾンで「作詞を担当する準メンバー」という特殊なメンバーで参加していた。

彼の詩は、究極の「プログレ的な歌詞」であり、それはそれは深淵で幽玄な、そして印象的な世界である。「混乱こそが、我が墓碑銘」、と言われた時にゃあ、高校時代、多感な思春期まっただ中の僕は、心底感じ入って、一人、暗い部屋の中で「クリムゾンキングの宮殿」に没頭したもんだ。

Peter_sinfield_still

そんな、ピート・シンフィールドのソロアルバム「スティル」。その多感な高校時代に、なけなしの小遣い叩いて買いました。ジャケットは、いかにもプログレって感じの優れもの。しかも、キング・クリムゾンの準メンバー。内容については悪い訳が無い。画に描いたような「ジャケ買い」。意気揚々家に帰り着く。

しかし、このアルバムに初めて針を落として、このアルバムを通して聴いた時の「驚愕と落胆」は今でも覚えている。出だしの1曲目の「シー・ゴートの詩」は、期待通り、カンタベリー系プログレ的雰囲気で、物語を聴いているような感じがピート・シンフィールドらしくて良い。ここまでは良かった。2曲目の「アンダー・ザ・スカイ」で椅子からズリ落ちた。なんやこれ〜。カントリー調のウエストコースト・ロック風。プログレやない。そして、3曲目「君なればこそ...」。なんやこれ〜。グラムやん。これグラムやん。全然プログレやない。

まあ4曲目から持ちなおして、再びカンタベリー系プログレ的雰囲気の曲に戻るんだが、同じ曲調の曲が並んでくるので、メリハリが無くて飽きると言えば飽きる。今だからこそ、このアルバムのカンタベリー系プログレ的雰囲気の部分は十分評価できるが、当時の高校時代はそうではない。あまりのメリハリと刺激の無さに涙涙。特に、前述の2曲目、3曲目は、今までの音楽人生を振り返ってみると、最大級の「驚愕と落胆」である。

アルバム全体の作りとしては、質は決して低くないし、演奏も様々なミュージシャンが協力しており、優れている。ちょっと散漫で、とっちらかっていて、メリハリと刺激が少ないのが問題といえば問題かな。プログレ・マニア向けですね。

それでも、ジャケットは優れもので、最低、紙ジャケの購入をお勧めします。ちょっとした衝立をあてて、立てかけると、なかなかのインテリアになります。LP美品であれば、なおさら言うこと無し。このジャケットの紙の質感とイラスト・デザインはかなりの優れものです。

まあ、かなり優れたジャケットだけで満足できる、奇特なアルバムではあるな、このピート・シンフィールドの「スティル」は・・・。くれぐれも言いますが、70年代プログレ・マニア用のアルバムです。購入にはお気を付け下さい(笑)。
 
 
 
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