« ついていない日には・・・・ | トップページ | 最高にファンキーなフュージョン »

2007年6月13日 (水曜日)

初心者の方、要注意です。

本格的に梅雨に入る前の好天っていうのだろうか。朝から快晴の千葉県北西部地方。風も湿気は含んでいるものの、まずまず爽やかで、このまま、秋になって欲しい様な好天。

今日は、名盤を聴き直そうシリーズ。エリック・ドルフィーの「アット・ザ・ファイヴ・スポット VOL.1」(写真左)。「ジャズの伝統的なフォーマットの中で、一番フリーな演奏」をした男、エリック・ドルフィーの「一音入魂」のライブ録音である。「ジャズの伝統的なフォーマットの中で、一番フリーな演奏」って、難解である。聴いた感覚で理解できるまでに、相当な時間がかかる代物。

それが不思議なことに、この難解な、エリック・ドルフィーの「アット・ザ・ファイヴ・スポット VOL.1」が、ジャズ入門アルバム50選や、ジャズ初心者向け、聴いておきたいアルバム100選に入っていたりするのだから、レコード会社の営業企画の人たち、それに協力する評論家の人たち、何を考えて入るんだろうと、いつも思ってしまう。

エリック・ドルフィー(1928.6.20〜1964.6.29)。実質6年という短い活動期間でしたが、アルト・サックス、フルート、バス・クラリネットという3つの楽器を巧みに使い分け、脳髄に響くような、刺激的で、どこまでも広がるような、宇宙をイメージするような想像力に溢れた、伝統的なフォーマットをキープしつつ、その上で、フリーでアブストラクトなサウンドを奏でた、フォロワー皆無の孤高のインプロヴァイザー。

Eric_d_five_spot

このエリック・ドルフィーの能書を見てもお判りのとおり、ジャズの演奏スタイルとしては難解な代物です。ジャズの様々なスタイルに聴き親しみ、座学でもその意味を理解した後では、なんとなく、ドルフィーの、類い希なる演奏スタイルの優秀性が理解できるのですが、もちろん、ジャズ初心者の方々には、ちと苦しい演奏スタイルです。

この「アット・ザ・ファイヴ・スポット VOL.1」の、冒頭の「ファイアー・ワルツ」の、最初のドルフィーのサックスの音を聴いただけで、恐らく初心者の方の9割はのけぞってしまうでしょう。今まで聴いたことのない、肉声にも近いが、前衛音楽的な響きもする、「ぶきゅぶきゅぶ〜」っていう音。僕たち、ドルフィー・マニアにとっては、「きたきたきた〜」って感じなのですが、初めて聴いた人は「なんじゃこりゃ〜」でしょう。

実は、僕もそうでした。ジャズ初心者だった学生時代。このアルバムのジャケットデザインに惹かれて、しかも、ジャズ入門50選キャンペーンの推薦アルバムに入っていた安心感もあって、購入しました。そして、家に帰って、ターンテーブルに載せて、出てきた音が「ぶきゅぶきゅぶ〜」。何が良いのか、何が優れているのか、何回聴いても判らず、理解するのを諦めました。お蔵入り。それから15年、日の当たる場所にでることは無かったですね〜、このアルバムは・・・(笑)。

今の耳で聴くと、それはそれは素晴らしい、個性的な、これぞジャズ的な演奏で、聴き始めると、最後まで聴き通して、そして、もう一度、聴き直したくなるような、癖になる演奏なんですが・・・・。ジャズ初心者にとっては、ちょっと不向きなアルバムですね。逆に言うと、このアルバムの良さが判るようになると、ジャズ初心者を卒業して、「ジャズ者」として、ジャズ・マニアとしての一歩を踏み出した証となる、そんなアルバムではあります。

「ジャズ入門アルバム50選」や、「ジャズ初心者向け、聴いておきたいアルバム100選」を過信するなかれ。中には、この「アット・ザ・ファイヴ・スポット VOL.1」の様に、初心者時代に聴くと、ジャズが嫌いになってしまいかねない、危険なアルバムが入っていたりする。ジャズ初心者の方、要注意です。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 

« ついていない日には・・・・ | トップページ | 最高にファンキーなフュージョン »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 初心者の方、要注意です。:

« ついていない日には・・・・ | トップページ | 最高にファンキーなフュージョン »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カテゴリー