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2007年6月18日 (月曜日)

21世紀のビ・バップ・ピアノ

なんだか、仕事が忙しい。体力的には忙しくないのだが、頭脳的にとても忙しい。頭を使うと、水分を補給したくなる。最近、500mlのミネラル・ウォーターを、一日4〜5本、飲むことが普通になってきた。

そんな頭脳的に忙しい時は、自分の一番好みのジャンルの音楽を聴くのが良い。今日の通勤音楽は、ジャズ・ピアノ・トリオ。ビル・チャーラップ・トリオの「Live At The Village Vanguard」(写真左)。2003年9月、ニューヨークは、ビレッジ・バンガードでのライブ録音である。

ビル・チャーラップは、1966年、ニューヨーク生まれ。今や、押しも押されぬ、中堅ジャズ・ピアニストの一人である。このライブ・アルバムのトリオ構成は、Bill Charlap(p)、Peter Washington(b)、Kenny Washington(ds)。

う〜ん、この演奏、なんと表現したらいいか、そう、ビ・バップである。21世紀のビ・バップである。21世紀のビ・バップ・ピアノ・トリオである。1940年代後半から50年代前半に、ジャズ界で流行った「ビ・バップ」。この古典的な「ビ・バップ」を、この21世紀のジャズ・シーンで取り上げることに意味があるのか。これを「停滞」と取るのか、「進歩」と取るのか。
 

Bill_charlap_live_at_vv

 
このビル・チャーラップ・トリオの演奏については、僕は「進歩」と解釈したい。ジャズの歴史の中で、綿々と積み上げられてきたジャズ・ピアノの表現法、演奏法。その粋を尽くして、旧来の「ビ・バップ」のフォーマットの上に、最先端のジャズ・ピアノの表現法を展開する。そこに、新しい「ビ・バップ・ピアノ」の解釈があり、新しい「ビ・バップ・ピアノ」の表現がある。

確かに、このビル・チャーラップ・トリオの「Live At The Village Vanguard」には、明らかに、1940年代後半から50年代前半にかけての「ビ・バップ・ピアノ・トリオ」とは違う、緩急、濃淡、強弱を様々に織り交ぜた、複雑な、色彩豊かな「ビ・バップ・ピアノ」が表現されている。

特に、リリカルで耽美的な演奏にその特徴がある。「リリカルで耽美的な」ジャズ・ピアノの表現は、エバンス派の専売特許だったが、このチャーラップの表現は、エバンス派のそれとは全く異なる。あくまで、「ビ・バップ」の表現方法の中での「リリカルで耽美的な」ジャズ・ピアノなのだ。

いいですよ〜、このピアノ・トリオ。でも、一時、ヘビー・ローテーションになる類のアルバムでは無く、時々、思い出したように、CDプレイヤーのターンテーブルに載せる様な、長〜く息の長い付き合いとなるような感じのする「21世紀のビ・バップ・ピアノ・トリオ」のライブ・アルバムです。
 
 
 
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コメント

そうですか・・・では今度、試聴してみます。私は因みにこの間、Charles Earland "Cookin in the mighty burner" (1997)とMike LeDonne "Then and Now" を共に中古で買いましたが、なかなか良かったので、この週末は充実していました。

ど〜も、KOJIさん、松和のマスターです。

今回、昔のビ・バップ全盛時代の頃と比べると、ピアノの表現
方法って、格段に進歩したなあ、って実感しました。ピアノを
ちょっとやってましたが、ビ・バップ風の演奏方法で、様々な
ニュアンスを付けるって、かなりテクニックがいるんですよね。

Charles EarlandとMike LeDonneですか。僕には全く馴染み
がありません。でも、購入したアルバムが、当たりの時って、
気持ちがなんだか充実しますよね。
 
 

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