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2007年4月 9日 (月曜日)

名盤中の名盤とはこのことじゃ

すっかり春である。今日の帰りも東京では雨の気配は全く無かったのに、家の最寄り駅についたら、急ににわか雨。でも、冷たい雨じゃない。春の雨である。ん〜、晴れ間が続かなくなりましたね。猫の目のように天気がコロコロ変わる。千葉県北西部地方はすっかり春になりました。

さて、「初心に返る」というスローガンの下、ジャズの名盤・定番の類を聴いている。今日は、Cannonball Adderley『Somethin' Else(サムシン・エルス)』(写真左)。ブルーノートからリリースされた(BN1595番)、キャノンボール・アダレイ名義のアルバムである。

キャノンボール・アダレイ名義であるが、実質のリーダーは、マイルス・デイビスである。これには、こんなエピソードがある(かなり有名なエピソードなんで、ここで改めて書くのも気が引けるが・・・・)。

1952年当時、マイルスは麻薬中毒の為、レコーディングもままならない状態に陥っていた。しかし、彼の才能を高く評価していたブルーノートの総帥アルフレット・ライオンは彼をサポート。1952年より、1年ごとにマイルスのリーダー作を録音することを約束。しかしながら、1955年、麻薬中毒から立ち直ったマイルスはコロムビア・レコードと契約をした。この契約により、ブルーノートへの録音は途切れることになる。

しかし、マイルスは、ライオンへの恩義を忘れなかった。再び、ブルーノートへの録音のチャンスを伺い、1958年、コロムビア・レコードを説得し、キャノンボール・アダレイ名義のアルバムにサイドマンとして参加することでライオンとの約束を実現。麻薬中毒の苦しい時代に、マイルスを見捨てず、マイルスの才能と人格を信じてくれた、ライオンへの恩義に報いたのだ。
 

Somethin_else

 
いい話ではないか。僕はこういう話に実に弱い。しかも、こういう感動的な逸話というのが、ジャズの世界では、ごまんとある。もうこのマイルスとライオンの物語だけで、この「サムシン・エルス」というアルバムは、名盤であることを約束されたようなものだ。

さて、アルバムの内容と言えば・・・。そりゃ〜、素晴らしい名演の数々。ハード・バップの最高峰。ハード・バップというジャズ・フォーマットの最高到達地点のひとつである。

まず、オープニングの1曲目。ジャズのスタンダード中のスタンダードとされる「枯葉 (Autumn Leaves)」 を、シャンソンの世界からジャズへ持ってきた一枚であると言われる所以。そう「枯葉 (Autumn Leaves)」である。

しかし、この「枯葉」、前奏のアレンジがダサい。「ズンドコ・ズンド、ズンドコ・ズンド」という、なんだか間の抜けた前奏のアレンジ。当時、マイルスが入れ込んでいた、アーマッド・ジャマルのアレンジをパクったらしいが、これなら、ビル・エバンスの「ポートレイト・イン・ジャズ」で聴ける「枯葉」の前奏のアレンジの方が数倍優れている。

が、イチャモンもここまで。後は、めくるめくハード・バップの最高峰演奏が続く。表題曲の「サムシン・エルス」などは、マイルスのオリジナルなんだが、曲想は既にハード・バップの先を行く、先進的な響きが素晴らしい。
 
大スタンダードの「ラブ・フォー・セール」については、こんな芸術的な高尚な響きの「ラブ・フォー・セール」を他に知らない。「ダンシング・イン・ザ・ダーク」のキャノンボール・アダレイのバラード・ソロは、キャノンボールの面目躍如。情感タップリで、そこはかとなくファンキーな香りがかぐわしい、絶妙なソロが聴ける。

リズム・セクションのハンク・ジョーンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)、アート・ブレイキー(ds)も申し分ない。というか、彼らの代表的演奏が聴ける。ハンクの旨さ、ジョーンズの堅実さ、ブレイキーの天才的ドラミング。ハード・バップ時代を代表する、リズム・セクションの秀逸な演奏が聴ける。

アーティスティックな高尚な佇まいの「サムシン・エルス」。やはり、名盤である。定番である。ハード・バップ時代の最高傑作を聴きたいなら、まずは、このアルバムをお薦めする。やはり、マイルスは偉大である。
 
 
 
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コメント

よく「キャノンボール・アダレイの名は冠しているけれど、あれは実はマイルスのアルバム」って言われる意味が今ひとつ理解できずに困っていたのですが、そんないきさつがあったんですね・・・。本当に勉強になります。

yurikoさん、ど〜も。松和のマスターです。

このブログの情報がお役にたったみたいで良かったです。

そうなんですよね。特に、ジャズは、この手のエピソードが多く、
この手のエピソードを押さえておくと、ジャズ鑑賞の奥行きが
ググッと拡がります。 
 
ジャズのエピソードって、結構人間っぽい話が多くて、感動話や
苦笑話が多くあって、飽きません。
 

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