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2007年3月26日 (月曜日)

ベースのボウイングの功罪

暖かくなった。もう今日からコート無しである。駅まで歩くと、ちょっと汗ばむ位。いよいよ春である。でも、朝からちょっと体調が思わしくなく、今週は出張も控えているというのに困ったものである。

さて、バーチャル音楽喫茶『松和』の「ジャズ・フュージョン館」にて、なかなか前に進まなかったんだが、そろそろ、ジャズ・ベースの代表格、ロン・カーターの特集をアップしようと準備している。その流れの中で、ロン・カーターの初リーダー作「ホエア」を手に入れたので、今日は、この「ホエア」を聴きながら帰宅。

この「ホエア」、ロン・カーターのボウイングがフィーチャーされていて、ちょっと辟易する。「ボウイング」とは、運弓法(うんきゅうほう)ともいい、擦弦楽器にあって弓をどのように動かすかという方法をいう。もっと簡単に言うと、弓を使って、弦を擦って音を出す方法。バイオリンを思い浮かべていただければ良い。

Ron_carter_where

ジャズ・ベースにおいて、この「ボウイング」、ほとんどのベーシストが、どこかで必ずやるのだが、これがあんまり感心できたものではないから困る。ノコギリで「ギ〜ギ〜」いわせるような、あんまり綺麗な音ではない、というか、不快音に近い響き。しかも、音程が少しずつ外れ気味とくる。音程のズレに敏感に反応してしまう者にとっては、不快きわまりない奏法である。

何故だか判らないのだが、ジャズ・ベーシストは、音程が外れ気味な人が多い。ピチカート(つま弾き)でのウォーキング・ベースやソロ演奏の時はあんまり目立たないんだが、ボウイングになると、音程の狂いが露わになる人が多い。もともとベースのチューニングに問題がある場合と、ボウイングのテクニックに問題がある場合と、両方の場合とあるが、ピッチが狂うなんて、音楽家にとってあるまじき行為である。

確かに、ベーシストが、サックスやトランペットの様に、ソロ演奏を華々しくやりたい時、旋律をはっきりと前に出したい時、ボウイングに頼りたくなるのはわかるが、クラシックの世界では、コントラバスのボウイングは「かなりテクニックを要する技」だと言われているのに、ジャズ・ベースの余芸としてのボウイングは、ちょっと無茶だろう。僕は、ジャズ・ベーシストのボウイングで、音程、テクニック共に優れた、ソロ演奏として鑑賞に堪えうるボウイングに出会ったことがない。

もともとベースって、ソロ演奏には、あまり向かない楽器なのだから、ベーシストの本来の良さって、リズム・セクションの要として、堅実で豪快なウォーキング・ベースと、要所要所で、ピチカートでの、音程の確かな洒落たソロだと思うんだけどなあ。

ベーシストとして、ソロ演奏として、目立ちたいが為の「ボウイング」。それが「美しい匠の世界」として、聴く者に対して響いているかといえば、そうでもない感じがする。このロン・カーターの初リーダー作「ホエア」を聴いてそう思った。
 
 
 
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