尊敬に値するロック・バンド
70年代のロックバンドって、デビュー作からピークまでは素晴らしいのだけれど、下り坂になった時のパフォーマンスは最悪に近くて、仲違いしたり、ソロでやりたくなって急にバンドから脱退したり、バンドの活動全般を通じて、尊敬に値するロック・バンドっていうのは意外と少ない。
特に、録音方式のテクノロジーが激変する時に、そのバンドの真価が問われる訳だが、1960年代後半、まずやってきた革命的な録音テクノロジーの変化が「マルチトラック」。ビートルズは、この「マルチ・トラック」のお陰で、ロックンロール・バンドの看板を下ろした。まあ、逆に、ビートルズは、この「マルチ・トラック」のお陰で、永遠にロック史上に名を残すバンドになったんだけどね。
そして、当時、ほとんどのロック・バンドが「おかしくなった」、革命的な録音テクノロジーの変化が「デジタル機材・デジタル録音」である。この「デジタル」のお陰で、ほとんどのロック・バンドはおかしくなった。かの希代のメロディー・メーカー、ポール・マッカートニーの「マッカートニーII」、エルトン・ジョンの「VICTIM OF LOVE」ですら、「デジタルの波にやられました〜」って感じで「いけない」。
他のバンドだってそうだ。ジェネシスだって、デジタルの波に乗って、プログレのテイストなんてどこへやら、スカスカのポップ・ロックになってしまったし、そうそう、当時のプログレ・バンドの全てが、おかしくなってしまった。でも、そんな中で、そんな革命的な録音テクノロジーなんて、どこ吹く風。「そんなもん、関係ないさ。俺たちは俺たちさ」なんて、格好良くロックンロールをキメ続けた、尊敬に値するロックバンドが幾つかある。
その代表格が「ローリング・ストーンズ」だと僕は思っている。1980年リリースの「Emotional Rescue」を聴くと、僕は、彼らに対して「尊敬の念」を強く持つ。1980年と言えば、もうデジタル機材・デジタル録音が普及してきて、アナログの良さなどとこへやら、無機質なデジタル臭さと人間味の無い打ち込みが台頭してきて、ロックが実につまらなくなった頃なんだが、このローリング・ストーンズの「Emotional Rescue」(写真)は違う。
確かに、その頃の流行のパンクから発展したソリッドなロックンロール(ポリス風って言ったらいいのかなあ)、デジタル臭さプンプンの打ち込みロックの作風を踏襲しつつも、決して、デジタル的作風に流れず、しっかりと、昔ながらの「人間臭さプンプン」のローリング・ストーンズならではのロックを創り上げているのには、頭が下がる。素晴らしい出来です。人間が創る、人間が演奏するロックでこそ、「真のロック」といえるんだよな。
最近はやっとデジタルの環境も進化して、旧来のアナログの良さとデジタルの良さを併せ持った、優れたアルバムも出てきてるけど、デジタルってどうしても易きに流れるらしく、まだまだ、本来の良さを取り戻すには時間がかかりそうだ。
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