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2006年12月27日 (水曜日)

僕をジャズに導いた名盤・その4

なんだ、この暖かさは。この時期に、東京は最高気温約20度。しかも、夕方から激しい風。この風も台風並みじゃ〜。しかも、明日は急速に寒くなるときてる。これはしんどいぞ。皆さん、風邪ひくなよ〜。

さて、「僕をジャズに導いた名盤」最終回その4である。これも、昨日、お話しした「僕だけの秘密の喫茶店」に舞台は立ち戻る。あれは、5月の終わり、初夏の風が吹き抜ける晴れた日の夕方のことである。

Now_he_singsいつもは、友人達とつるんで、大学の正門前、桜通りに面した、喫茶「みちくさ」に入り浸って、好きな音楽をかけてもらったり、テレビゲームをしたり、店が忙しい時はいろいろ手伝ったりした。おばさんは、すごくいい人で、僕等の「お袋さん」だった。大好きな喫茶店だった。それでも、たまに、一人になりたい時があって、そういう時は、友人に気がつかれずに「ふけて」、例の「僕だけの秘密の喫茶店」に直行した。

今でも不思議なんだが、この「僕だけの秘密の喫茶店」、大学から、かなり近い距離にあるのにもかかわらず、大学生がいない。いるのかもしれないが「がさつ」な大学生は皆無。恐らく、この喫茶店の雰囲気と、珈琲の値段の高さ(ブレンドが当時600円だったと記憶している)が原因だったのだろうか。とにかく、大学が近いのにも拘わらず、異空間だった。

5月の終わり、夕方の西日が喫茶店の中に差し込む。金色の光が差し込む中、このアルバムが流れてきた。チック・コリア(Chick Corea)の「ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス」である。ファンキーっぽくない、黒くない、それでいて、そこはかとなく「粘り」があって、スパニッシュの雰囲気がほのかに漂う、幾何学的な展開ではあるが、決して、理屈っぽくない。ファンタジーとロマンティシズムの香りがあるが、甘くなく、流れもしない。硬質のタッチではあるが、固くない。こんなピアノがあるんだと驚いた。自分でもピアノを弾いてきたんで判る。というか、僕が、ジャズ・ピアノを弾くのなら、こんなピアノを弾きたい。強く、強く感じた。もう、それから、チック・コリア命である。

純ジャズからフュージョンまで、コンセプトがコロコロ変わって、一貫性が無い、とか、売らんが為の商業主義の臭いがする、とか、まあ、あれこれと、硬派のジャズ・マニアの方々から批判されるチックではあるが、僕みたいなファンからすると、色々なコンセプトのアルバムが聴けて、色々なコンセプトに対応する才覚があって、それが水準以上ときているんだから、言うこと無し。まあ、ファンとはそんなもんである。僕は今でも、一番好きなジャズ・ピアニストは、チック・コリアである。

MJQの「ピラミッド」、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」、ビル・エバンスの「ポートレイト・イン・ジャズ」、そして、チック・コリアの「ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス」。このアルバム4枚が、僕をジャズに導いた、僕を「完璧なまでにジャズに導いた」名盤4枚である。

音楽も人生も、偶然の出会いによって、その運命が変わっていく。僕は「良い出会い」に恵まれたと思っている。
 
 
 
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