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2006年11月 2日 (木曜日)

「prestige」より「Atlantic」

明日から3連休。あ〜っ、やっと1週間が終わった。とにかく疲れた。最近の仕事の内容が内容だけに疲れて当たり前なんだが、とにかく疲れた。目が霞むし、眠くて眠くて仕方が無い。

さて、最近、コルトレーンをちょくちょく聴き続けている。この2〜3日間は、Atlantic時代のコルトレーンを聴いているんだが、これがなかなか良い。一部のリーダー・アルバムを除いて、聴きやすいコルトレーンがここにはある。ストレートに吹ききる個性的な音色。適度なスピードと適度な長さの「シーツ・オブ・サウンド(音を敷き詰めるようにサックスを吹く、コルトレーン独特の奏法)」。決して破綻を来さないアドリブ。

但し、ジャズ入門書によく出てくる評論家が推薦する有名盤は避けた方が賢明。「ジャイアント・ステップ」は、コルトレーンの完全なチャレンジだし、「マイ・フェイバリット・シングス」は、タイトル曲のソプラノ・サックスの拙さときたら酷いもので、このアルバムを初心者の方々に是非聴くように勧めるのって、どういう感覚をしているのかしら(歴史的に見て、ソプラノ・サックスをソロ楽器として扱った演奏の最初としては評価できるけど)。


SoultraneAtlantic時代の推薦盤は、「Coltrane Plays the Blues」「Coltrane's Sound」「Coltrane Jazz」「Bags&Trane」。この辺りのリーダー・アルバムは、コルトレーンが「聴く者の立場を考慮して」、判りやすく、かつ個性的にサックスを吹いている。暑くならず、醒めもせず、抑制の効いた、理知的でストレートなサックスを聴かせてくれる。コルトレーンらしさと聴き易さが同居している優れものである。


前のブログで、「Impuls」より「Prestige」と書いたが、コルトレーンは「prestige」より「Atlantic」やね。「Prestige」時代は、その時の「気分次第で」、自分の好きなようにサックスを吹くか、仲間とつじつまを合わせて、折り合いを付けたサックスを器用に吹くか、若さに任せて、その時その時の気分で、サックスを吹いていたような感じがする。「Prestige」はリハーサル無しのぶっつけ本番レコーディングだったことも、その「気分次第で」サックスを吹く傾向を増幅させたのではないか。

「Prestige」時代の名盤は、そんな気分次第のレコーディングから、傾向の似通った曲を集めてアルバムにして、その傾向・雰囲気に従ってタイトルを付けた。そんな感じだ。例えば、ジャズ入門書に良く出てくる「Soultrane」(写真)は、自分の好きなように吹いたアルバムで、聴き手の立場よりも、コルトレーン自身の立場が完全に優先されている。このアルバムの「シーツ・オブ・サウンド」は高速でテクニカルで、初心者の方の耳にはちょっと「ウルサイ」だろう。この時代のコルトレーンは発展途上なので中級者向け。

「Impuls」時代は、これは完全にコルトレーンの「強い意志のままに」、好き勝手に吹いている。聴き手の立場なんて関係ない。自分が吹きたいように吹く。聴き手に関係なく、一方通行なので、これは初心者の方は「疲れる」。かなり、フリーキーな演奏もあり、このフリーキーなアルバムに、初心者時代に当たったら、普通の人は、コルトレーンが嫌いになるだろう。この時代のコルトレーンは上級者向けである。

「Prestige」時代は、「気分次第で」自分の好きなようにサックスを吹き、そして「Atlantic」時代は、「聴く者の立場を考慮して」判りやすく個性的にサックスを吹き、続く「Impuls」時代は、「強い意志のままに」好き勝手にサックスを吹く。こうやって並べてみると、聴き手にとって、コルトレーンの世界に入り易いのは、僕は「Atlantic」時代のアルバムだと思います。
 
 
 
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