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2006年11月 8日 (水曜日)

りんごのにおいと風の国

今日の朝は快晴。昨日、風が強くて大変だった分、今日の朝は空気が澄んで、雪をまとった富士山、うっすら雪化粧した男体山、頂上にちょっとだけ雪(?)の赤城山、そして、くっきりと筑波山、南には、房総半島の低い山々が、うちのバルコニーから見渡せた。素晴らしい景色である。

ほんとに寒くなった。さすがに、今日は厚手の冬の背広を着用。ああ、憂鬱やなあ。寒いの苦手なんだよな。これだけ、寒くなってくると、冬眠したくなってくる。熊やリスが羨ましくなる、今日この頃である。

しかし、この晩秋の季節になると、決まって思い出す「風景と匂い」がある。大学時代、10月の終わりから11月の始めにかけて、車で、大阪を出て、日本海に出て、小松辺りから白山スーパー林道を目指し、雪でクローズされていて、迂回し、白川郷から野麦峠を越えて、松本へ出て、伊那谷を下って、恵那山の脇を越えて、名古屋を経て、大阪へ帰るという、とんでもない旅をした思い出がある。

Olive3

野麦峠を越えて、野麦街道をどんどん降りていって、奈川渡ダムを横目で見て、さらにどんどん降りていくと、フロントガラスに松本盆地が広がる。ちょうどこの季節の夕方である。車を止めて、夕日を一身に浴びながら、歩道の縁に座る。どこかで野焼きをしているのであろう、藁を焼いた香ばしいにおいがたちこめる。セロファンのような晩秋の夕日。少し、冷たい、凛とした夕暮れの空気。そして、道の彼方には、松本盆地がぶわ〜っと広がる。里山は静かに夕支度を始めているかの様に、優しい面持ちで佇んでいる。

なんだか、心がジ〜ンとして、しみじみと涙が出そうな、そんな日本の原風景だった。あれから25年。今でも、忘れられない、素晴らしい風景の思い出である。

この風景を思い出すと、決まって、松任谷由実の「りんごのにおいと風の国」を思い出す。アルバムのジャケットがフランスのファッション雑誌っぽくお洒落な印象を与えている「Olive」の10曲目。この「りんごのにおいと風の国」の歌詞と曲の雰囲気が、信州の晩秋の夕暮れ時にぴったりなのである。

りんごのにおいと風の国  作詞・作曲 : 松任谷由実

ハロウィーン 木枯らしのバスが
夕暮れの街を過ぎれば
うつむいた人々 どれもが似ている顔
たぶん あなたの愛した 私はどこにもいないの
若さが創った 美しすぎるまぼろし

もういけない たずねてゆけない
わがままなあなたをゆるしそう

ハロウィーン りんごのにおいと風の国へ急ぎます

ハロウィーン いのこずち ひとつ 
くちづけてセーターに投げたの
言えなかった想いを 残らずこめるように
そして ストーブの前で ぬいだとき気づいて欲しい
小さなブローチ 短い秋のピリオド

もういけない たずねてゆけない
ひたむきなあなたを探しそう

ハロウィーン りんごのにおいと風の国へ急ぎます
風の国へ急ぎます

曲中の「いのこずち」。実に三本のヒゲ状の棘(とげ)があるのだが、主人公は、それをセーターに投げつけて、それがセーターに付くことで、別れた彼への想いを表現しているのである。絶品である。名曲である。
 
 
 
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コメント

はじめまして。「ジョン・トロペイ ドリーム りんごのにおいと風の国」で検索したところ、三つを満たす最初の、そしておそらく唯一の検索結果として本ブログが表示されたので、おじゃまします。
僕は「ユーミンの好きな曲を10曲挙げて」と問われたら大いに迷いますが、「3曲挙げて」なら即答できます。①NIGHT WALKER ②りんごのにおいと風の国 ③ジャコビニ彗星の日 です。

昨夜のこと。布団の中でうとうとしていたところ、つけっぱなしのNHK「ラジオ深夜便」から、聴き慣れたイントロが流れてきました。「あ~、りんごのにおいと風の国だ。ラジオでかかるなんて初めてじゃないか? いい選曲だけど、秋の曲なのに季節はずれだな」と思いながら、そのまま眠りに落ちそうになりました。
ところが! イントロが終わったところで衝撃的なことが起こり目が覚めました。全く違う曲なのです。やわらかく美しいギターの音色とフレーズ。「りんごの~」が最初から最後までほぼ全編マイナーを基調にして進んでいくのに大して、この曲はイントロはマイナーだけど、それ以降はメジャー展開して、エンディングでまたマイナーに戻る。なにより歌がない。インスト曲です。
なんだこれは… 愕然としながら曲が終わり、パーソナリティーが演奏者と曲名を告げました。「ジョン・トロペイ ドリーム をお送りしました」。イントロとエンディング以外、「りんごの~」と「ドリーム」は全く違う曲です。でもあの印象的なイントロのフレーズはパクリなどという生やさしいレベルではありません。「同じ」です。

僕はジャズ、フュージョンは好きですが、それほど詳しくないので「ドリーム」を知りませんでした。
偶然の一致、あるいは「ドリーム」の方がパクリであってくれ(その可能性は極めて低いだろうけど)。そう願いながらリリース年を調べると…
「ドリーム」 収録アルバム/トロペイ 1975年。
「りんごのにおいと風の国」 収録アルバム/OLIVE 1979年。
嗚呼… しかも両曲とも収録アルバムのラストを飾るところまで同じです。

「りんごの~」は曲全体ももちろん良いのですが、とにかくイントロでの秋の寂寥感を見事に伝える松任谷正隆によるアレンジが素晴らしいと思い、最初に聴いた時から感嘆しました。
単なるマイナーだけではなく、7-5、maj7、7sus4などを効果的に使ったコード進行。極端に言えばイントロだけでこの曲は圧勝とまで言っていいぐらいだと思い、「松任谷正隆すげ~!」と心底敬意を払っていたのです。ところが…

「りんごの~」はシングルカットされていない、ユーミン作品の中では極めて知名度の低い曲であり、収録されているアルバム「OLIVE」も名盤ながら非常に地味な扱いをされていることから、この二曲の相似に気付いている人は少ないようで、これに触れた記事はネットの情報の洪水の中でも見つけることはできませんでした。
そのためこの場をお借りして、長々と書かせていただいた次第です。失礼致しました。
マスターはジャズ、フュージョンにお詳しいようなので、この件に関してコメントいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

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