30年経って「そうだったのか」
我が、千葉県北西部地方、日差しはまだ夏の名残りで強いのだが、近づく台風の影響か、涼しい風がちょいと強めに吹き抜けて、日陰に入ると「大変に涼しい」。涼しいので、窓を開けっ放しにして、昼寝をしたら、どうも体が冷えたのか、起きたら頭痛がする。頭痛があまりにきついので、久し振りにバッファリンのお世話に。夕方以降は、窓を開けっ放しにしていたら寒い。着実に秋へ季節は動いている。
涼しくなってくると、決まって、本が読みたくなる。最近、結構、本を読み始めた。今回、読んだ本は、蔦 きうい著 「ユーミン「愛」の地理学」である。この本は、松任谷由実の歌詞を、歌人が分析した本である。歌人の分析と言われると、難しい展開や解釈を振り回して、ややこしいことを書いてるんじゃないのか、と危惧するが、そうではない。雑誌のコラムかコミックを読む感じで、気楽に読める。
その内容(目次)を列記すると、
微妙な関係を味わう—『天気雨』から『星空の誘惑』へ
実らない恋も楽しむ—『悲しいほどお天気』と『グループ』
2.5次元の空間—『海を見ていた午後』と『埠頭を渡る風』
恋の終わりを楽しむ—『中央フリーウェイ』と『翳りゆく部屋』
恋の芽生えと成長—『ベルベット・イースター』から『きっと言える』へ
夢をおいかける—『青春のリグレット』他
季節を楽しむ—『さざ波』と『十二月の雨』
地理を楽しむ(1)—『私のロンサム・タウン』と『DOWNTOWN BOY』
地理を楽しむ(2)—『ルージュの伝言』と『緑の町に舞い降りて』
リゾートへ行こう—『サーフ天国、スキー天国』と『シーズンオフの心には』
レクイエム—『ロッヂで待つクリスマス』と『瞳を閉じて』
自分を味わう—『やさしさに包まれたなら』と『ダンデライオン』
地平線を探す—『ナビゲイター』と『遠い旅路』
松任谷由実の「歌詞」のファンでないと、まったく面白くない本なので、ユーミンの「歌詞の世界」に興味のある人以外は、手に取らない方が良いですね。それと、「天気雨」「悲しいほどお天気」「さざ波」「私のロンサム・タウン」「緑の町に舞い降りて」「ダンデライオン」など、ちょっとマニアックな曲についてのコメントもあるので、70年代から80年代前半のユーミンを或る程度、聴き込んだ方でないと、ついていくのが辛いかもしれません(読んでいて歌が浮かばないと、イメージが膨らまない)。
読んでいて「そうだったのか」とか「目から鱗」とか、「えーっ、そうなのか」的なものまで、筆者独自のユニークな視点での解釈は、読んでいて面白い。そういう解釈もあったのか、と感心するものもあったが、それぞれの歌が流行っていた頃から、30年程度、経っているわけだが、30年経って「そうだったのか」と合点がいった解釈もあって、面白かった。
「中央フリーウェイ」が別れの歌である、ということについては、やっと合点がいったし、「瞳を閉じて」や「ロッヂで待つクリスマス」は、逝った人たちへの「レクイエム」である、という解釈には、「やっぱり、そうだよなー」と納得した。「やさしさに包まれたなら」の「大人になっても、きせきはおこるよ〜」の一節の「きせき」の部分の漢字は、「奇跡」ではなく「奇蹟」だったことを再認識できたし、以前から難解だった「ダンデライオン」の歌詞についての解釈については、やっと何を歌っていたのかが判った。
いや〜、なかなか面白かった。ユーミンの歌詞の世界に興味のある方は必読の書でしょう。
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